表舞台から忽然と姿消した「ウイスキー」復活の訳 70年代には蒸留所が2000以上から2カ所に減少
アイリッシュウイスキーをご存じですか? 世界5大ウイスキーの1つに数えられ、一説によるとウイスキーの元祖ともいわれています。かつてはスコッチウイスキーをもしのぐ生産量を誇ったものの、20世紀初頭に忽然と表舞台から消え、100年近くを経たいま、ふたたび注目度が急上昇しているのです。
おさえておきたいジャンルではあるけれど、その実、情報量が少なすぎる! そこでウイスキー評論家の土屋守さんに、5分でわかるアイリッシュウイスキーの歴史や魅力をご教示いただきました。次回、バーのカウンターでアイリッシュウイスキーの銘柄をさらりとオーダーできたら、ちょっとカッコいいオヤジを気取れますよ。
アイリッシュウイスキーはいつ誕生したの?
販売量がこの20年で約6倍も増えているアイリッシュウイスキー。これは世界5大ウイスキーの中でも最も高い成長率です。そんな成長株が誕生したのはいつのことでしょう。
諸説ありますが、ウイスキーの蒸留技術は修道士によって生み出され、キリスト教と共にもたらされた、というのが有力な説です。アイルランドにキリスト教が伝わったのは5~6世紀。当初は薬酒として修道院で作られていたものが、民間に広まったのは13~15世紀のこととされています。
その後、14~16世紀にスコットランドへ、18~19世紀に新大陸のアメリカやカナダへ、ウイスキーは伝わっていきました。世界5大ウイスキーのうち、特殊な日本を除くと、こうした流れで伝播していきました。ウイスキーの元祖は、実はアイルランドのアイリッシュウイスキーとするのが、主流な考え方です。