LGBTQをわかってない人に伝えたい3つの重要点 望ましい職場環境づくりに必要な正しい知識

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日頃の言動によってもアライであることを伝えることができます。いくつか紹介します。

□「彼氏(彼女)を見つけた方がいい」「早く結婚しないと子どもを産めなくなるよ」などのように、結婚や子育てをするのが当然だという前提で話をしない
□ 好きな異性のタイプを尋ねるなど、恋愛対象は異性であるという前提で話をしない
□ 「男って/女ってこういうもの」などのように、性別で人を決めつけたり、「世の中には男か女しかいない」という前提で話をしない
□ 「 男ならもっと堂々としろ」「女だから料理ぐらいできないとね」などのように「男らしさ/女らしさ」を押し付ける話し方をしない
□ 自分や他人のパートナーについて「彼氏/彼女」「夫/妻」「旦那さん/奥さん」などのように異性である前提の言葉を使わず、「パートナー」「恋人」「お連れ合い」などの言葉を使う

コミュニケーションのベースは尊重から生まれる

LGBTQが働きやすい環境を整える実例をお話ししました。

取り組んだことのない職場では、難しさを感じる部分もあったかもしれません。しかし、繰り返しますが、大切なことは以下の3点です。

(1)正しい知識を身につけること

(2)相手を人として尊重する意思を言葉と行動で示すこと

(3)丁寧に対話を重ねること

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「こういうことを言われたらいやだろうな」とか「こういう言い方は良くないな」とかビジネスをしていると社内・取引先に気遣うことは多々あると思います。相手がLGBTQであってもなくても、大切なことはかわりません。相手を尊重する気持ちや気遣いが、孤独を感じやすいマイノリティにとっては救いや励ましとなり、働く意欲につながるのです。「間違ったことを言わないこと/やらないこと」よりも、相手を尊重する気持ちを持って対話を重ねることのほうが重要だと、私の経験からも思います。

また、相手を理解すれば、気遣いや配慮が生まれるもの。

研修に参加したり、得られたナレッジを共有する勉強会を開いたりすることから始めていただけたらと思います。積み重ねが多様な個性を受け入れ、誰もが力を発揮しやすい職場を作ります。それが優秀な人材の獲得、そして会社の発展につながっていきます。

宮川 直己 マクアケデザイン代表取締役

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みやがわ なおき / Naoki Miyagawa

トランスジェンダー当事者。組織の生産性向上と人間関係改善をサポートするメンタルコーチ。株式会社マクアケデザイン代表取締役。九州大学文学部卒(人間科学科地域福祉社会学専攻)。30代半ばで男性として生きることを決意。性同一性障害の診断を受け、身体療法および戸籍名の変更を行う。同時に女性としての過去を捨てるため市役所を退職。あるとき、期せずしてカミングアウトする機会に遭遇。現在はトランスジェンダー当事者であることをオープンにして生活している。2016年より心理学、脳科学、NLPを用いたコンサルティング事業を開始。管理職を対象としたコミュニケーション講座やメンタルコーチング等を提供している。

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