「NHKはネットで受信料取れない」と断言できる訳 イギリスやフランスの「見直し」どう影響するか

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テレビ離れが進む中、テレビを持つ人だけを対象にした受信料制度だと、予算縮小から逃れられない。ネットで受信料を取らないとNHKの規模は小さくなるしかない。ネットでも利用してもらい、そこから受信料を取りたいと考えたくなるのも無理はないとは思う。

ところが、ゴールデンウィーク前にそんな望みを打ち砕くようなニュースが入ってきた。ある通信社の見出しでは「英BBC、受信料一律徴収終了へ」、別の新聞の見出しは「BBC受信料を廃止?」。記事をよくよく読むと、英国政府が放送政策の白書で受信料の見直しについて言及した、ということで終了や廃止が決まったわけではない。この辺りは新聞業界がNHKを常日頃から敵視していることを割り引いて受け止めたほうがいい。ただイギリス政府が人々のメディア接触の激変から、これまでの受信料が時代に合わなくなったと考えていることははっきり書かれている。長い長い白書を個人ブログで翻訳してくれた方がいるので参考になる(英国の「Up next–政府の放送分野へのビジョン」の日本語訳(1)〜(6)- DON)。

フランスも受信料撤廃へ

さらに5月13日には、フランスからも受信料撤廃のニュースが飛び込んできた。マクロン大統領が再選時の公約として公共放送の受信料をなくすことを掲げており、それを具体化するという。どうやら公共放送の受信料見直しは、世界的な流れのようだ。

BBCに話を戻すと、イギリスでは受信料の未払いに厳しい罰則があり義務感は日本より強いようだ。それが何らか見直されるとなると、日本も今のままでいいのかと言いたくなる。NHKのあり方は何かとBBCをモデルとして見られてきた。BBCの見直しは、新聞社に言われなくてもNHKの受信料制度に影響しそうだ。

ましてや、ネットで受信料なんて!となってしまうのではないか。厳しい罰則で受信料を徴収してきたBBCでさえ見直す、つまりテレビを持ってるから払うとは限らなくなる。それなのにNHKはテレビを持ってなくても受信料を取るの?そんな声が聞こえてきそうだ。

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