生きづらさ助長「コンプレックス」との付き合い方 劣等感が強い人はハラスメントしてないか注意

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次に「コンプレックス」は、自分の思い込みであって、他者は気づきもしないことが多いということです。人は、思っているほど他者のことを見ておらず、気にしていません。以前の記事で、ストレスに強い人は「自分軸」をしっかり持っている。その一方で、ストレスに弱い人は、自分の気持ちよりも、他人からどう思われるか・見られているかという「他人軸」を強く気にする傾向にある、とお伝えしました。

コンプレックスが強い人も同様で、「他人軸」を必要以上に気にする傾向があります。「自分がこうしたい」ではなく、「他者から見られている自分」が第一優先で、他者からの言葉や視線によって「自分はこうあるべき」という自己感情を強く根付かせてしまうわけです。

そして、その他者視線は、そもそもほとんど存在しないので、思い悩むだけ無駄とも言えます。

開き直るのも一つの方法

最後に、コンプレックスは受け入れて、開き直るというのも一つの方法です。例えば、太った際に体型を隠そうと、よりゆったりとした服を選ぶようになると、余計にシルエットが強調されます。体形に合った服を選ぶほうが、スッキリみえたという経験をしたことのある方もいらっしゃると思います。また、話し方を気にされて、相談を受けることも多いのですが、自信満々にとうとうと話しているよりも、たどたどしく一生懸命に発言しているほうが、誠実さを感じて好感が持てたりします。ありのまま自分を受け入れたほうが、不必要なマイナス感情に支配されることも少なくなると思います。

軽度なコンプレックスなら成長のバネになると思いますが、気になりすぎて生活の質を落としているようだったら、今一度、ご自身との向き合い方を考えてみましょう。コンプレックスに必要以上にフォーカスするではなく、自分の良いところを見つけて、その部分を長所として伸ばす努力をしたほうがずっと効果的ですので、自分の「よいことろ」探しもお勧めです。

何かとストレスを感じる日常生活の中で、少しでも気持ちが楽になるよう、参考にしていただければと思います。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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