このように、他者からのひと言が“悪しき呪文”として内在化し、「自分は他人よりも劣っている」という主観的な意識として確立してしまうと考えられます。さらに、そのひと言が好意を寄せる相手からであったり、認めてもらいたい人である場合は、より一層影響力が大きなものとなります。コンプレックスの強い人は、そのことにとらわれすぎて不自由な思いを抱えやすいといえます。
また、何かをするときに「失敗したくない」と強く思い込んで自分を追い込み、無理をしすぎる傾向があります。反対に、失敗を恐れ新しいことにチャレンジできないという人も多いです。
どちらにしても、気持ちに余裕がないので、精神的にはかなり不安定な状態です。イライラすることも増えるので、人間関係を上手く築いていくことが難しくなります。
“優劣”にこだわりやすくなる
さらに、コンプレックスが強い人は、比較されたり、ダメ出しをされたことが根底にあるため、“優劣”にこだわりやすく、物事をつねに勝ち負けで判断してしまう傾向が強くなります。とくに仕事では、プロセス重視ではなく結果ありきになってしまい、威圧的になりやすく、無意識のうちにハラスメントを起こしてしまうこともあります。
では、どのように向き合っていけばよいのでしょうか。まず、自分の意識の中の「比較」に気づくことです。つねに、誰かと、何かと比較していないか、その気持ちが沸き上がってきたときに目をそらさずに向き合いましょう。そして、「違い」はあれど、決して「優劣」ではないということを、冷静にとらえる練習を繰り返します。最初は、そう思おうとしても難しいかもしれませんが、形式的に繰り返しているうちに、自然とそう思えるようになってきます。また、他者に対しての言動にも注意してください。人に注意するときなどに「~さんは、こういうやり方をしていましたよ」など、他人を引き合いに出さないように気をつけたいですね。
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