アジアの経済成長が欧米にもたらす希望 ゴードン・ブラウン前英国首相

1月25日にオバマ大統領が行った“新スプートニクモーメント”についてのスピーチは、世界の人々の心をとらえた。

1957年にソ連が人類最初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功した後、アメリカ政府はソ連に追いつくための教育、投資政策を発表した。今回のオバマ大統領の“新スプートニクモーメント”は、当時に匹敵するアメリカ復興計画である。オバマ大統領は、教育、インフラ、技術の改善のための大胆なプランの概要を語り、経済成長を取り戻すために必要な決意を、月に人を送り込む決意に例えた。

オバマ大統領は、西欧は大きな挑戦だけでなく、大きな機会にも直面していると語ったが、その指摘は正しい。過去10年間に10億人ものアジアの労働者が新たに産業生産に携わるようになったことで、世界経済は変わった。今年、過去2世紀で初めて、欧米は生産、輸出、投資で中国など非欧米諸国の後塵を拝することになるはずだ。

だが、アジアの成長は欧米にかつてないほどの希望も与えている。

今後10年間に世界はアジアの消費者の台頭により再び変貌を遂げるだろう。2020年までにアジアの国内市場はアメリカ市場の倍になる。世界の中産階級は10億人から30億人に増える。この新たな世界の消費拡大によって、欧米の成長機会が大きく広がるだろう。アジアの新市場で繁栄できるのは、20億人のアジアの消費者が求めるような、高付加価値な製品とサービスを提供できる欧米企業である。

しかしながら、アジア市場における欧米の立場はさほど強くはない。アジアでの機会をものにするためには、欧米は投資においても、技術革新においても他国を凌駕しなければならない。エンジニア部門や科学、新技術の分野で投資を大幅に拡大できなければ、欧米は政府が企業支援を行っている国々に取り残されてしまうはずだ。

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