アジアの経済成長が欧米にもたらす希望 ゴードン・ブラウン前英国首相
欧米は投資を増やし中国は消費を増やす
オバマ大統領の投資計画は、世界のすべての国の成長を高め、数百万人の雇用を創出する世界的な合意への基礎となりうる。そうした合意に基づき、欧米は投資を増やし、中国は消費を増やす役割を担うべきだ。それが実現すれば、14年までに世界経済の成長率は約3%高まり、1億人を貧困から救い出すことができると私は信じている。
09年にロンドンで開催されたG20で議長を務めたとき、私はこの計画を提案した。私は、一時的な世界不況救済策よりも、永続的な効果をもたらす戦略策定に取り組むことを願っていた。今こそ持続的な成長の枠組みを策定する絶好のチャンスであると主張した。だが、当時の議論は、不況が恐慌に発展するのを阻止するという点に終始した。
最終的に、共通な成長目標を設定する合意は成立しなかった。合意を達成するために必要な協調行動を取る政治的意志は存在しなかったのだ。それ以降、欧米は潜在成長を下回る成長にとどまり、失業率は約10%まで上昇することになった(若者の失業率に至っては20%に達した)。
09年に実現できなかった世界経済成長に関する合意は、依然としてG20の課題として残っている。
公共投資の前倒し資金は欧州投資銀行の融資で調達することができる。中国はすでに消費を増やすための政策に乗り出している。中国の貧困層を減らし、中産階級を育成する“小康”政策は、欧米企業に数十億ドルの財とサービスの市場を作り出すはずである。