コロナ支援策「女性フリーランスは素通り」の悲痛 実態に合わない助成要件、はびこる自己責任論

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コロナ禍で支援策は設けられたものの、助成要件が実態に合わず、女性フリーランスが申請できないケースもあります(出所:厚生労働省HP)
コロナ禍は「女性不況」と呼ばれるほど女性に深刻な影響を与えています。女性の非正規労働者はコロナの感染拡大前より減少。路上に出たり炊き出しの列に並んだりする女性もなお目立ちます。
ところが、女性の失業率は男性を下回り続けるなど打撃の大きさは表面化しておらず、「沈黙の雇用危機」の様相を示しています。いったいどういうことなのか。
貧困や非正規雇用の問題を報じてきたジャーナリストの竹信三恵子さんは、「働く女性の訴えを抑え込んでいく『社会の装置』がある」と言います。その「装置」の実態について、竹信さんが女性の働く現場からさぐっていきます。
この連載のほかの記事はこちらからご覧ください。

コロナ禍は、フリーランスという働き方が雇用危機にいかに無防備かを見せつけた。「自営業だから」として放置されてきたフリーランスの保護に、政府もようやく乗り出し始めた。

だがコロナ禍による休園・休校でフリーランスの母たちが直面した「小学校休業等対応支援金(以下、休校等支援金)」制度の不備など、その支援策は、多くの女性フリーランスを素通りした。そこには、男性も含む「自営業は自助努力を」という規範に加え、「育児やセクハラは個人の問題」という女性固有の「二重の自己責任」装置があった。

30代女性が休校等支援金の申請をあきらめかけた訳

今年4月、東京都に住むフリーランス、川島ちなつ(仮名、30代)は、「休校等支援金」の申請をあきらめかけていた。

フリーランスの就業実態に合わない証明書ばかりが求められ、近いと思われるものを何とか集めて送ったら、要件に合わないとして差し戻されてきた。しかも、多くのフリーランスには存在しないような書類を追加して送るよう求められたからだ。

フリーランスは演劇、取材、インストラクターなど対面の仕事も多い。コロナ禍の第1波で、こうした分野の仕事はほぼ停止状態になった。だがフリーランスは「自営業」を理由に、コロナ禍による一斉休校で働けなくなった親のために創設された「休校等助成金」から除外された。

追い詰められたフリーランスの親たちのために業界団体や関係労組が政府に働きかけ、「雇用者の半額」ではあるが、フリーランスが自力申請できる制度として「休校等支援金」が設けられた。

こうして登場した支援金は、小学生の子どもを抱える川島には希望の星に思えた。最初の緊急事態宣言が出た2020年4月から5月にかけ、川島がかかわるはずだったプロジェクトも新型コロナの感染防止のため立ち消えになり、収入が途絶えて貯蓄を取り崩す日々が続いていたからだ。

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