今なぜ?コロナ世代の「女性運動」が共感呼ぶ理由 従来と違う「やさしいこぶしの振り上げ方」

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2021年2月28日に札幌市内で行われた「#子育て緊急事態アクション」についての記者会見(写真提供:さっぽろ青年ユニオン)
コロナ禍は「女性不況」と呼ばれるほど女性に深刻な影響を与えています。女性の非正規労働者はコロナの感染拡大前より減少。路上に出たり炊き出しの列に並んだりする女性もなお目立ちます。
ところが、女性の失業率は男性を下回り続けるなど打撃の大きさは表面化しておらず、「沈黙の雇用危機」の様相を示しています。いったいどういうことなのか。
貧困や非正規雇用の問題を報じてきたジャーナリストの竹信三恵子さんは、「働く女性の訴えを抑え込んでいく『社会の装置』がある」と言います。その「装置」の実態について、竹信さんが女性の働く現場からさぐっていきます。
この連載のほかの記事はこちらからご覧ください。

コロナ禍は女性の困窮をあぶりだした。だが、「つらい」という声はバッシングに抑え込まれる。そんな「沈黙の装置」を打ち破る20代、30代女性の動きが、コロナ禍で広がっている。

「コロナ世代」「#MeToo世代」の彼女たちの「沈黙打破ツール」は、①対面でなくても意思疎通できるSNS、②生理や子育てなど「女性の私事」とされてきた問題の社会化、③支援する側とされる側の壁の乗り越えだ。

従来の抗議活動とは異なる「やさしいこぶしの振り上げ方」の発見がそこにある。

「生理の貧困」が知られるようになった背景

2022年3月23日、厚生労働省は、「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」の結果を公表した。回答では、「新型コロナの発生後(2020年2月以降)、生理用品の購入・入手に苦労したこと」が「よくある」「ときどきある」が8.1%(244人)にのぼり、30歳未満や低所得者に多いことも浮かんだ。

口にされにくい「生理(月経)」を、行政の政策課題にまで押し上げたのは、「#みんなの生理」というグループの活動だった。

共同代表の谷口歩実は1998年生まれ。コロナ禍が広がった2020年に大学を卒業した「コロナ世代」だ。谷口が「生理の貧困」を意識したきっかけは、祖母の思い出話だった。上京して働き始めた祖母は収入が少なく、生理用品の入手に苦労したという。「生理を経験する人にとっては日常的かつ重要なこと。それをなぜ口にできないのか」。素朴な疑問から、コロナ禍直前の2019年、谷口は生理をテーマに卒業論文を書き始めた。

調べるうちに、生理にかかる経費が負担になっている人が周囲に少なくないことを知った。生理不順を改善するためのピルの購入費なども含め、生理関係の出費が月3000円を超す例も珍しくない。親たちの収入も低下し、アルバイトで学費や生計費をまかなう学生も多い。これを、生理の経費が圧迫する。「生理の貧困」の発見だった。

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