「脂肪肝は酒飲みだけがなる病気」は重大な誤解だ 糖質を摂りすぎると、肝臓に重大なダメージが

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アジア人は脂肪肝になりやすい遺伝子を持つ人が多いことも、遺伝子解析で解明されていますから、国内の脂肪肝患者は今後も増加の一途を辿ると予測されています。

脂肪肝の本当の怖さとは?

脂肪肝患者の1〜2割には慢性的に肝臓に炎症が起きています。これが「脂肪肝炎(非アルコール性脂肪肝炎)」。

「NASH(ナッシュ)」と言われるこの病態を放置すれば、5年間で20%程度の割合で肝硬変に進行していきます。アメリカではすでにNASHが肝臓病における死亡原因の第一位で、日本でも10年以内に同様の状況になることが懸念されています。

お酒を多飲せず、肝炎ウイルスにも感染していないのにNASHになり、次第に線維化して肝臓が硬く変化していく。肝硬変は、腹水、胸水、黄疸などの症状が起こり、最終的に肝不全で命を失う“死に至る病”です。

肝臓は、24時間、摂った栄養素を体の各部で働く形に変換し、害のある物質を速やかに解毒。ウイルスや細菌、カビなどの病原菌が全身に回らないように闘っています。全臓器の中で最も大きく、脳よりも重くて、最もエネルギーを使って、絶え間なく、多くの仕事を同時進行で行う臓器ですが、現在のところ、臨床現場で実用化できている人工肝臓はありません。つまり、肝臓が機能しなくなれば、死に直結するのです。

そして脂肪肝の本当の怖さは、肝硬変に進行するまで、ほとんど自覚症状がないこと。肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるゆえんです。スマート外来の患者も、健康診断で肝機能検査のE判定を受けての来院が多く、そんなにお酒も飲まないのに? と、最初は半信半疑です。

慢性C型肝炎には経口薬ができていますが、脂肪肝を単独で治す薬はまだ開発されていません。このような現状で、脂肪肝患者を救う方法はどこにあるのか。これを解決するヒントは、「生体肝移植ドナーに対する術前の食事指導」にありました。

「生体肝移植」とは、ウイルス肝炎などで肝硬変が進行して肝不全となった患者に対し、健常な臓器提供者(ドナー)の肝臓の一部を切除し、移植する治療法のことです。ドナーの肝臓が健常であれば、手術後、患者・ドナーの肝臓それぞれが、元の大きさ、元の機能にまで回復します。しかし、ここで思わぬ問題が立ちはだかりました。ドナーに脂肪肝があると、移植した肝臓が働かないことが判明したのです。

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