経済危機で低迷のODA 国際連帯税導入が急務に--国連事務総長特別顧問、UNITAID理事長 フィリップ・ドスト=ブラジ

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途上国を支援すれば観光業にもメリット

--国際連帯税を導入しているのは現在十数カ国ですが、航空券に上乗せする「航空券税」の形を採っています。なぜ、航空券が国際連帯税の対象になるのですか。

まず、航空券の値段はサーチャージ(燃油価格変動に伴う付加運賃)の上乗せやシーズンによっても大きく変動するので、1ドル程度足しても、ほとんどの購入者に変化を感じさせず、おカネを集めることができる。

次に、ある国の国際線に航空券税が導入されれば、その国を発つすべての便で課税される。日本発の場合でも、外国航空会社の便を含めて課税対象になる。日本の航空会社だけが競争上不利になることはない。

さらに、日本のような国がアフリカを支援し続けることは意義が大きい。日本は国際社会で援助について寛大な国として知られてきたが、この税を導入することで、引き続き寛大な国として認識されると思う。

--日本の航空業界は、燃料税など他国より重い税も課されています。新たな税の導入には抵抗感があるのではないでしょうか。

航空券税は航空会社が直接徴収しなければならないように思われがちだが、空港税や空港使用料の一環として追加徴収するため、実際に航空会社が直接徴収することはない。徴収コストも非常に安い。

観光業に影響があるのではないかとの誤解もあるが、これは海外に出るときに払う税であって、日本に来たときに1ドル払うわけではない。日本に来る人を減らすことはない。

航空券税のよい点をもう一つ挙げるとしたら、観光業に携わるすべての航空会社や旅行会社は、世界中が安定し、いろいろな国へ安全に人々が行き来できるからこそ、ビジネスが成り立つ。だから途上国を支援すべきだともいえるのではないか。

日本は、国際連帯税をはじめとする「革新的な資金創出メカニズム」のリーディンググループに最初からかかわり、議長国も務めている。日本で非常に有力な政治家とも話をしたが、彼らの中には国際連帯税について前向きな人たちが多かった。

日本政府は航空券税導入の検討を進めていくだろうが、同時にいちばん大切なのは世論を味方につけることだ。たとえば、東京−パリ間を1回飛んで、1ドル追加で払うだけで、大人のマラリア患者一人を治療でき、子どもなら二人を救うことができる。そういうことが重要だと思う心は日本人の中に必ずあるはずだ。

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