3月28日、国土交通大臣は東京メトロの有楽町線(豊洲~住吉)と南北線(品川~白金高輪)の延伸事業を許可した。どちらも、2030年代半ばの開業を目指すという。
有楽町線(東京8号線)の豊洲~住吉は、国際競争力強化の拠点である臨海副都心と都区部東部や東京圏東部・北部地域とのアクセス利便性の向上や、東京メトロ東西線やJR京葉線の混雑緩和を図る観点から建設が推進され、総建設費は約2690億円と見込まれている。これにより、豊洲~住吉の所要時間が約20分から約9分に短縮されるという。
南北線の品川~白金高輪は、六本木などの都心部と、リニア中央新幹線始発駅となる品川駅や、品川からアクセスできる羽田空港とのアクセス利便性の向上を図る観点から建設が推進され、総建設費は約1310億円を見込んでいる。これにより、品川~六本木一丁目の所要時間は約19分から約9分に短縮されるという。
鉄道インフラ建設に国が投融資
この路線延伸の許可申請を、東京メトロが国土交通大臣宛に提出したのは、1月28日だった。実は、それからさらに1カ月ほど前にさかのぼる2021年12月24日に、この延伸事業に後押しとなる決定がなされていた。
それは、12月24日に2022年度予算政府案が閣議決定された際に、同時に取りまとめられた2022年度財政投融資計画である。
財政投融資とは、国債の発行などにより調達した資金を財源として、民間では対応が困難な長期・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするための政府による投融資活動である。
財政投融資と、東京メトロの延伸との間に、どのような関係があるのか。ざっくりと言えば、東京メトロの延伸のための建設費の一部を、政府が財政投融資を使って長期・低利で融資することとしたのである。
より厳密にいうと、財投債と呼ばれる国債を発行して調達した資金を、政府から独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄運機構)に融資をして、それを東京メトロにこの建設費のために民間金融機関よりも長期・低利で融資をすることとなる。2022年度財政投融資計画には、鉄運機構への2011億円の融資が計上された。
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