2020年代の社会保障改革へ岸田政権の「本気度」 財務省・厚労省のエース級幹部を事務局に配置

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昨年11月、全世代型社会保障構築会議などの第1回合同会議で発言する岸田文雄首相(写真・時事通信)

3月9日、岸田文雄内閣で社会保障改革の議論を進めるために新設された全世代型社会保障構築会議の第2回会合が開催された。2022年度予算政府案が衆議院で可決され、年度内成立が確定的になり、社会保障改革に向けた論議がいよいよ始まった。

全世代型社会保障構築会議は、2021年11月に新設されて初会合が行われたが、年内は2022年度予算編成が優先されたため、事実上のキックオフはこの第2回会合となった。高齢者だけでなく子どもや子育て世帯にも恩恵が及ぶような全世代型対応の持続的な社会保障制度を構築することを目指して、社会保障全般の総合的な検討を行うこととしている。

2010年代の「社会保障・税一体改革」の次を担う

岸田内閣で、どのような社会保障改革を企画するかは、すなわちわが国における2020年代の社会保障制度をどうするかを方向づけるものとなる。団塊世代が75歳以上になっていき今後も高齢化が進むことに加え、少子化が一段と進んで、子育て支援のあり方も見直す必要が出てきており、2020年代にはわが国の社会保障制度をさらに改善していかなければならない。

政府は2010年代を通じて、消費税率を10%にまで上げて、その増税財源を社会保障のために使うこととしてきた。基礎年金の強化や医療・介護の充実、さらに待機児童解消や幼児教育の無償化のために増税財源を充て、「社会保障・税一体改革」を進めてきた。2012年に成立した法律を皮切りに、2019年に消費税率が10%に上がったことで、「社会保障・税一体改革」はひと段落した格好だ。

そうした経緯から、ポスト「社会保障・税一体改革」をどうするかが今、問われている。しかし、必要とされる改革といえども、実行に移すとなると、相当な労力が必要となる。既存の制度で恩恵を受けている既得権益者を説得しつつ、給付と負担に関して対立する利害をうまく調整していかなければならない。

今後の社会保障制度改革は、政治のリーダーシップが必要だが、それを下支えする事務局にも省庁横断的に調整や政策決定ができる体制が必要である。

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