家庭における介護の負担軽減については、家族の介護のために離職しなければならない「介護離職」を防ぐ仕組み作りや、認知症を抱える家族やヤングケアラーへの支援をどうするかといった問題について、これまで未着手の改革を本格化させることとしている。
政府は「地域共生社会」の実現をうたっている。しかし、そもそも「地域共生社会」という言葉自体がまだ人口に膾炙していない。「地域共生社会」とは、政府の説明によると、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民1人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会、であるという。
「住まい」の支援も重要だ
この観点からみると、現行の社会保障制度で取りこぼしたものとして、「住まい」の問題が深刻であるといえる。今後、住まいの確保が困難となる生活困窮者が増える恐れがあるが、その備えが不十分である。これにどう対応するかが問われる。
医療・介護・福祉サービスについては、政府内でも複数の会議体で議論されており、これまでもさまざまな改革が行われている。全世代型社会保障構築会議では、電子カルテ情報の標準化などデジタル技術の活用や、高齢・地域人材の活用、人材育成のあり方を中心に、複数の制度をまたいだ大局的な改革論議を進めたいところである。
全世代型社会保障構築会議では、まずは、今年6月ごろにも取りまとめられる予定の「骨太方針」に反映できるよう芽出しの議論を進め、おそらくは今夏の参議院選挙後に具体策について検討を深めることとなるだろう。
※本稿において、意見にわたる部分は、筆者の私見であり、全世代型社会保障構築会議の見解を代表するものではない。
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