2020年代の社会保障改革へ岸田政権の「本気度」 財務省・厚労省のエース級幹部を事務局に配置

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岸田内閣では、山際大志郎全世代型社会保障改革担当大臣が、この改革論議の指揮を執る。岸田首相を本部長、山際全世代型社会保障改革担当相を副本部長とする全世代型社会保障構築本部を新設し、その下に置かれた同本部事務局は、前例にないほど強力な布陣となった。

事務局トップの総括事務局長には、山崎史郎内閣官房参与を起用した。山崎総括事務局長は、厚生労働省で2000年の介護保険制度の発足や初期の制度運営に深く関わって「ミスター介護保険」とも呼ばれ、菅直人首相秘書官、厚労省社会・援護局長などを歴任した経験を持つ。

財務省、厚労省、総務省がエース級を投入

現役官僚として要となる事務局長には、大島一博厚生労働省政策統括官(総合政策担当)が兼務することとなった。厚労省の政策統括官(総合政策担当)とは、厚労省資料の文言を借りると、「厚生労働省の政策のコントロールタワーとして、少子高齢化、技術革新などの社会経済状況の変化を踏まえ、政策のグランドデザインや将来像を描」く役割を果たし、省内の局横断的なとりまとめ役を果たす部局のトップである。大島事務局長は、厚生労働省で、介護保険を所管する老健局長や官房長を務めた。

事務局長を支える審議官には、首相秘書官や局内主要課長などを歴任した経験を持つ厚生労働省と財務省から出向した内閣審議官を充てるとともに、財務省主計局次長(財務省で予算編成を担当する部局のナンバー2)、厚生労働省総合政策担当審議官(厚生労働省で政策統括官<総合政策担当>を支えるナンバー2)、総務省自治財政局官房審議官(社会保障行政の担い手である地方自治体の財政運営を所管する部局のナンバー2)、内閣府子ども・子育て本部審議官(同本部のナンバー2)が、併任する形で配している。

加えて、事務局で実務的な最前線に立つ参事官には、財務省主計局の厚生労働担当主計官も、併任をかけて配するという念の入れようである。

全世代型社会保障構築本部事務局の幹部の大半が兼任者というのは、一見すると本務の片手間で業務を遂行するかのようにみえるが、そうではない。同一人物が意思決定に関わるわけだから、本務と兼務の職務で相矛盾する内容の職務を遂行できるはずはない。

つまり、本務で実質的な権限を持つ立場にある事務方が、全世代型社会保障構築本部事務局幹部としても省庁横断的に意思決定に関わり兼務する形をとっている。ここが、前例のないところである。権限のない事務方が併任しているなら、決められることも決められないが、そうではない。首相や担当大臣をはじめ、全世代型社会保障構築本部で意思決定できれば、トップダウンで社会保障改革を制度面や予算面や執行面で実施できるほどの強力な事務局体制なのである。

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