2020年代の社会保障改革へ岸田政権の「本気度」 財務省・厚労省のエース級幹部を事務局に配置

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この布陣を見ると、岸田内閣が今後の社会保障改革に本気で取り組もうとする意気込みが見えてくる。

では、岸田内閣はどんな社会保障改革に着手しようとしているのか。

社会保障改革というと、財源が足りないから、再び消費税を増税するのか、と思われがちだが、そうではない。岸田首相は、国会答弁でも「当面、消費税について触れることは考えていない」と明言している。だから、増税ありきの社会保障改革論議ではない。

3月9日の第2回会合で示されたのだが、全世代型社会保障構築会議で取り上げる当面の論点は、次のとおりだ。

・男女が希望通り働ける社会づくり・子育て支援
・女性の就労の制約となっている制度の見直し
・勤労者皆保険の実現
・家庭における介護の負担軽減
・地域共生社会の実現
・持続可能な医療・介護・福祉サービスの構築

男女が希望どおり働ける社会づくり・子育て支援としては、保育や放課後児童クラブの整備を着実に進めているが、就労復帰を希望する親がより確実に利用できるようにするための改善項目として、育児休業制度の利用促進(とりわけ男性)、幼児期の時短勤務の選択など、仕事と育児の両立を図りやすくするための施策を中心に議論することとしている。

女性の就労の制約となっている制度の見直しについても、公的年金や医療保険の仕組みや企業慣行などにおいて、既婚女性の働くインセンティブを阻害する仕組みを根本的に洗い出して、その改革を検討することとしている。

年金制度改革でも動きがある

「勤労者皆保険」とは、あまり聞き慣れないかもしれないが、岸田首相が昨年の自民党総裁選に立候補した時から唱えていたアイデアだ。これまで正規雇用者しか加入できなかった報酬比例部分の厚生年金に、非正規雇用者や短時間労働者でも入れるように適用拡大をしているが、さらなる適用拡大をどう図るか、そしてフリーランスやギグワーカーへの適用をどう拡大するかを議論することとしている。

次ページ家庭の介護負担の軽減も俎上に乗る
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