「コーダ」や「シング」など"聴く映画"が人気の理由 「高音質大音量」需要がもたらす大きなマーケット

✎ 1〜 ✎ 51 ✎ 52 ✎ 53 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だが、正直に白状すれば私は、サブスクを使ってスマホで音楽を聴いているとき、CDに比べて音質が劣化しているとは、ほとんど感じない。耳が鈍感なこともあろうが、データサイズの減少分ほどには音質劣化しない技術が使われているのだろう。

だから、『シング』のサントラCDも買ったはいいが、いちいちCDデッキのトレイに載せて聴くのが面倒なので、アイナ・ジ・エンドの歌をサブスクで聴きながら、CD封入の歌詞カードを読むという、ちょっと倒錯した楽しみ方になっているのだが。

しかしかつて、自らが登壇するカルチャーセンターの講座で、iTunesでダウンロードした音源(M4A形式)を、スピーカーを通して大音量で聴いてみたとき、音質の劣化を痛感した。具体的には、音がサビついているような感じがした。「ずっと気にならなかったけれど、実はこんな音を毎日聴いていたのか」と驚いたのだ。

思うのは、圧縮音源に人々が慣れすぎた結果、「高音質大音量」への需要が、無意識のうちに蓄積されているのではないかということである。ただ、この需要に関しては「ロスレス」「ハイレゾ」による高音質サブスクが、今後は代替していくのかもしれないが。

もっともメジャーな音楽プレイヤーはスマホ

スマホに関連して言えば、現代におけるもっともメジャーな音楽プレイヤーがスマホになったことも、「高音質大音量」需要を間接的に生み出していると考える。

言うまでもなくスマホにおいて、音楽プレイヤー機能は、機能全体の中のワン・オブ・ゼムに過ぎない。人によって異なるだろうが、一般的にはウェブブラウザ機能や、SNS機能のほうが、より多く長く起動しているだろう。

結果「ながら聴き」になってしまう。スマホで音楽を聴きながら、他のアプリに注意が分散したり、またスマホは小型軽量なので、聴きながら移動したり、あるときには聴きながら寝てしまったりと、別の行動をしながらの「ながら聴き」になる確率が高い。

次ページ映画館が唯一の「音楽没入空間」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事