日本の経済システムは明らかに機能不全に陥っている。しかも秩序を維持しつつ改善するのは不可能な段階にまで達している。だからその核心部分がいったん破壊されれる必要がある。その過程なしのブループリントを描いたところで、絵に描いた餅になってしまう。
これまで述べてきたのは、資本と人材を海外から導入することによって、旧システムの核心を破壊しようという考えだ。海外のものは異質だから破壊者になりうるのである。
「異質排除」から脱却しよう
資本や人材の外国からの導入は、「外国に支配される」ことではない。「それらに場を与える」ことなのだ。成長の果実は場を貸した側にも落ちる。まず地代や税・保険料などの直接的な収入がある。それだけではなく、雇用、購買力増加、設備投資などの面で波及効果も期待できる。高齢化が進んで労働年齢世代が減少する今後の日本では、外国人労働力の活用は不可欠の課題だ。
こうした利益が期待できるにもかかわらず、高度経済成長実現後の日本は、かたくなに外資を拒否し続けてきた。経営者が拒否するのはやむをえないとしても、従業員や株主が拒否するのは合理的ではない。
拒否の理由は、「異質なものを排除したい」という感情的なものだ。「外国であること、異質であること」だけの理由で拒否するのだ。こうしたクセノフォビア(外国人恐怖症)的国民感情を変えることが必要だ。そのために、マスコミの責任は大きい。
いつまでも拒否を続けていれば手遅れになる。外資は利益を求めて日本に来るのだから、日本が利益を与えられなくなれば外資は来なくなる。外資にとってのメリットが高いうちに受け入れなければ、条件は悪くなる(ペリーが日本に開国を求めたのも、捕鯨船の寄港地獲得というメリットが期待できたからである)。