これに関連して私が最近興味を抱いたのは、いくつかの企業が外国人に門戸を開き始めたというニュースだ。これまで日本企業にいた外国人は、工場の単純労働者であるか、海外拠点に勤務する現地採用の人たちだった。彼らが本社の経営方針に影響を与えることはできなかった。
しかしこの数年、いくつかの企業が、幹部候補生として中国人などの外国人採用を拡大し始めた(表参照)。パナソニックは採用に当たって、日本人より外国人に大きなウェートをかける方針に転換した。企業側の考えとしては、現地要員の確保というより従業員の多様化を図るのが目的である。
この傾向が進めば、日本企業の閉鎖性に穴が開き、内向きの企業文化も変わるかもしれない。それがひいては日本経済の活性化につながることも期待できるだろう。
ただし過大な期待はできない。まず外国人に門戸を開き始めた企業は、全体から見れば一部に過ぎない。それに新卒の若い人だけのことなので、当該企業においても従業員のごく一部が変わるだけだ。
また、日本企業が有能な外国人を独占できるわけでもない。中国の大学生の就職希望の上位に来るのは、中国の国営企業を除けば、P&G、マイクロソフト、グーグルなどのアメリカ企業だ。日本企業はリストの上位には登場しない。さらに採用できたとしても従業員は定着せず、条件のよい別の企業に転職してしまう可能性も高い。日本企業は中国人からは転職のための「腰掛」と見なされている傾向もあるようだ。そもそもいったん採用したら、定年まで会社への滅私奉公を求めること自体が「日本的」だといえるだろう。