日本の格差を生んだ本当の犯人は誰か?
日本の経済構造は日本特有の文化によってもたらされたのか、それとも、他国と同様に経済力と社会制度の変化によってもたらされたのか--。日本ではこの問いをめぐって、果てしない議論が繰り広げられている。
まず日本と中国の大きな違いについて考えてみよう。1950年代初めから70年代にかけて、日本は高度成長と所得の平等を達成した。これとは対照的に、中国では開放政策を採り始めた78年以降、急速な経済成長と所得格差の拡大が同時に進んだ。この違いは日本社会が他国より「平等」に高い価値を置いたからだといわれている。だがデータを見ると、現実は大きく違っている。
もし日本の経済構造が日本特有の文化の産物であるならば、現在、機能不全に陥っている経済を改革するのは難しいだろう。しかし、それが最近の出来事や経済情勢、社会制度、選挙結果の反映であるならば、経済構造はもっと簡単に変えることができるだろう。
歴史的に言うと、日本は平等ではなく、不平等な社会であった。明治時代から30年代末まで、人口の1%にすぎない最富裕層が、国民全体の課税前所得のほぼ20%を占めていた。日本は先進国で最も所得格差の大きな国の一つだったのだ。
だが、第2次世界大戦中に不平等は急速に縮小した。44年までに最富裕層の所得シェアは11%にまで低下。さらに戦後のインフレと戦後改革で、そのシェアは46年には7%にまで下がった。2002年には若干高くなったが、それでも8・6%の水準にとどまっている。
驚くべきことに、他の先進工業国でも同じ時期に同じような状況が見られた。1919年から2000年の間の日本の所得格差の変化と、13カ国の所得格差の変化の相関関係は91%と極めて高かった。