日本品質モバイルバッテリー躍進のワケ 「アマゾンハック」が2015年のバズワードだ!

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こちらはANKER Astro M3 モバイルバッテリー 13000mAh 【Amazon限定セット】ハイパワー電源アダプタ付属モデル(写真:ANKER HPより)

低価格化を牽引してきたのは今回話を聞いたcheeroANKERだ。ANKERは元Googleのメンバーが起業したモバイルアクセサリー企業。大きな資本によって中国の生産拠点を押さえ、充電速度を高めるPower IQなどのテクノロジーを搭載した新製品を素早く低価格で投入している。

対するcheeroブランドは、大阪のティー・アール・エイ株式会社が新設した事業部が企画している商品である。同社取締役で、米国・タイ現地法人のCEOを務める東潤氏は、こうした低価格化と多数のプレイヤーが参加する厳しい競争環境についていく「新たな武器」が必要だったと語る。

cheeroにパナソニック製バッテリーを採用したメリット

「基本的に、ほとんどのメーカーは中国で生産を行っており、当社の製品も同様です。その中で競争における差別化を行うためには、やはり地の利を生かすことが重要でした。モバイルバッテリーに搭載されるリチウムイオン電池は、一般のアルカリ電池の5倍の重量密度を持つため、高い安全性が求められます。この業界は三洋電機がリードしてきましたが、これを引き継いだパナソニックが、世界最先端の品質だと考えています」(東氏)

こちらは軽量で持ち運びしやすい、cheero 「Power Plus 3 13400mAh」(写真:cheero Facebookより)

cheeroが初めて日本製の電池を採用した「Power Plus 3 13400mAh」は、同社製の従来モデルよりも28%の容量が増加しながら、サイズは14%小さくコンパクトになり、また持ち歩く際に最も気になる重量も16%軽量化を実現している。そして、電池そのものの高い信頼性を付加価値として取り入れることができる。

日本のブランドが日本の技術を生かす。当たり前のように聞こえるが、上記のような価格競争にさらされている場合、コスト面で厳しいことも否めない。また部品の調達も、中国部品でそろえるよりも難しくなる。そこで、「調整」が必要だったという。

低価格実現のため、パッケージもコストカットが図られたCheero(画像をクリックするとAmazonの購入サイトへジャンプします)

「技術・品質面では世界最高ですが、その分コストアップがネックになります。また部品調達の足も長く、柔軟な生産体制を組むための準備も必要になります。生産プロセスの管理、部品以外の徹底的な低価格化包装や付属品の簡素化、流通・広報面のコストの見直しを徹底的に行いました」(東氏)

日本製部品の採用という付加価値と、徹底的なコストカットによる市場に受け入れられる低価格を両立する。そのために活用したのが、オンラインストアのAmazon.co.jpだった。

「アマゾンハック」による成長と新たなメッセージ

これまでも同社はブロガーとのコミュニケーションとAmazon.co.jpでのオープニングセールによる展開で、新製品を効果的にユーザーに認知させる手法を活用してきた。筆者は個人的に、彼らの手法を「アマゾンハック」と呼んでいる。アマゾンの特徴を深く理解し、マーケティング兼販売戦略としてフル活用するという意味合いだ。

発売時の瞬間風速でランキングのトップを狙いつつ、同時にブロガーによるレビューによって、製品への継続的な興味・関心を獲得する。こちらも、ブログだけでなく、YouTubeやソーシャルメディアなどを活用した、既存のマスコミを使ったPRとは全く異なる方法だ。こうしてcheeroはブランドを獲得し、販売台数を重ねてきた。

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