日本品質モバイルバッテリー躍進のワケ 「アマゾンハック」が2015年のバズワードだ!

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Power Plus 3 13400mAhでは、この「アマゾンハック」ともいえる手法について、今回の場合は日本製の部品調達という新しい変数に対応するためにも活用した。販路をAmazon.co.jpに絞り、生産から物流、販売プロセスのシンプル化を図った。このことは、低価格化にも寄与していると東氏は話す。

その結果はどうだったのだろうか。

「今回もたくさんのお客様に好評を頂きました。Amazon.co.jp限定での販売にも関わらず、リリース記念価格の初期ロット2万台が10時間に満たない短時間で完売しました。その後、通常価格のロットも数日で完売し、現在安定供給に向けた調整を行っています」(東氏)

今回の成功は、cheeroにとっても変化のきっかけとなりそうだ。これまで、低価格のモバイルバッテリーのプライスリーダーという役割で、「低価格」が特徴のひとつだった。ここに、異なる付加価値と、その付加価値の伝える際にもAmazonが活用できることを証明したのだ。

「今回の弊社の商品は、価格やデザインよりも「安全性」や「コンパクトさ」を強調しました。価格以外の価値がどのように受け入れられるか非常に不安でしたが、オンラインECサイトを活用したマーケティングでも、価格以外の価値がきちんと受け入れてもらえることがわかり、いい形になったと考えています」(東氏)

海外展開しやすい環境が整っている

バッテリー、Amazon.co.jpという事業戦略の集中化を行い、ここに新たなメッセージを加えることに成功しつつあるcheero。狙うはさらに大きな市場である海外だ。すでに昨年から、香港、米国、タイ、イギリスに販売子会社を設立し、世界15カ国で販売することができる体制を整えた。

「Amazonのように、シンプルで世界共通のプラットホームが、世界展開を可能にしています。オンライン販売だけでなく、物流や一部のカスタマーサポートまでアウトソースすることができ、また海外進出支援会社の台頭もあって、10人程度の小さな会社が海外にチャレンジできる環境が急速に整ってきました」(東氏)

(写真:New York Timesの記事より)

米国でも、cheeroのバッテリーはメディア戦略が奏功している。同社の人気製品に、日本の漫画のキャラクター「ダンボー」を活用したバッテリーがあるが、これがNew York Timesのブログに「ホリデーギフトに最適」という文脈で紹介された(2014年12月6日記事)

記事にはAmazon.comへのリンクも掲載されており、一気に販売台数が伸びたという。日本で培った手法が、そのまま海外でも活用できる、そんなスモールビジネスにとって非常に恵まれた世界が、現在だという。東氏は今後について、次のように展望した。

「海外をいろいろみて感じる事ですが、日本のものづくりのマインドや技術、デザイン、コンテンツは、世界にふたつとない強みと感じます。今後も、国内でのコラボレーションを行いながら、国内外で新しいチャレンジしていきたいと思います」(東氏)。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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