●連休明けに大手の採用が終わっても、準大手・中堅の採用は続いている
就活生は就職ナビや就活本で就活スケジュールを知っているが、採用側の視点で見ると、スケジュールは異なって見えてくる。採用スケジュールは業種、企業規模で違っているが、大手の場合はだいたい決まっている。大手の採用は5月にだいたい終わり、6月から7月にかけて採用を総括し、次年度の計画を立てる。それから10月1日の就職ナビオープンに向けて準備が始まる。
10月1日に採用活動がスタートするが、翌年4月の本選考までの期間は2つに分けられる。寺澤によれば、10~12月は「学生に対する広報が主目的で、風呂敷を広げる」期間で、学生はプレエントリーし、多くの合同セミナーに参加したりする。1~3月までは「学生に対して刷り込みを行い、理解を深める」期間であり、学生は説明会に出て企業研究をする。
そして4月の選考が始まるとスピードは一気に上がり、4月末から5月連休明けに採用力のある大手の採用は終了する。この時点の内定率は3割から4割近くである。
ただし採用は終わっていない。準大手、中堅・中小は大手が終わるのを待って、5月、6月、7月に本選考をしている。
●「選択肢が多いと選べない」から、就職ナビでは選べない
採用側から見るとこういうスケジュールだが、学生の動きは違う。よくあるのは焦ってプレエントリーしまくり、年が明けると企業セミナーに出まくるというものだ。そしてその多くが人気企業に集中する。たとえば、マスコミ、旅行、金融、総合商社だ。だがこれらの業種の採用人数は全体から見ると取るに足らないほど少ない。つまりほとんどの学生は落ちる。「しまくる」就活を4月まで続けてきた学生は、4月の終わりになると心が折れて、準大手、中堅が選考を始める5月、6月に動かない。いや、動けなくなっている。「これがいちばんまずい」と寺澤はアドバイスをする。
寺澤が新卒で就職したのは1986年のことだが、入社したのは社員60人の就職情報会社。大手志向はなく、フィーリングが合い、「自分の力がつきそうな会社」が志望動機だった。
今の学生は大手志向が強まっている。その結果として失敗就活が増えている。寺澤に言わせれば、簡単にエントリーできる就職ナビに原因がある。就活という言葉がまだなかった頃の就職活動では、紙(はがき)に書いて応募し、会社へ行って会って話すのが基本だった。そんなにたくさんの企業とコンタクトすることはできなかった。
就職ナビが登場して、確かに簡単にたくさんの企業にエントリーできるようになった。しかし「選択肢が多いと選べない」と寺澤は言う。あまりに多いので、どう探していいのかわからないから、自分の知っている企業を選んでしまう。そして失敗する。
多くの学生は業界研究、企業研究に時間を使ったつもりだろうが、採用ホームページや入社案内を読むだけでは、理解できないし、自分に合った会社選びもできない。自分の無知を自覚し、幅広く業界を見なくてはならない。
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