「女性は被害者!」という思考が持つリスク それはハラスメントか、マネジメントか?

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私にも覚えがありますが、「妊娠したのだから仕方ない」「そういうものだ」と、アクションもせずに自らを納得させようとし、評価を聞く怖さから逃げることもまた、大切な機会を逃しているような気がします。

悪質なマタハラを撲滅し、安心して「妊娠・出産」しながら働けるようにしていくということは、たいへん重要なことだと思います。一方で、サラリーマンとして企業の重要な戦力であり続け、自らも社会で成長し続けるために、会社との信頼関係を見つめ直し、自分に「それは本当にマタハラか」と問うてみる、そういうスタンスもまた、必要ではないでしょうか。

悪質なマタハラには、もちろん声を上げよう

コミュニケーションしてもやっぱり、きちんと人事の背景が説明できない会社、妊娠だけを理由に進退を迫ってくる上司など、悪質なマタハラは存在すると思います。それをあなた自身が確信したとしたら、上司との直接対決はあまり意味がないでしょうね。とんちんかんな上司であることは必定だから、現実はきっと何も変わらない。それ以上話すことなどありません。

堂薗稚子さんの著書『 「元・リクルート最強の母」の仕事も家庭も100%の働き方』(角川書店)も発売中です

上層部や上司の発言は、レコーダーに録音できなかったとしても、すぐに時間や内容をそのままに記録し、人事、組合やコンプライアンス関連部署、または経営トップや社外の信頼できる人(弁護士やユニオンなど)に相談してみるべきです。きっと正しい解決策が提示されると思いますし、心ない対応をしようとした上層部も、あらためて自分の非に気づくと思います。やはり、声を上げることでしか、世の中は変わっていかないわけですから、そこで起こる軋轢を考えすぎずに、きっちりと主張すべきでしょう。

「これはマタハラじゃないか」「あのときのあの人事はマタハラだったのでは……」と自分だけで考え続けて、解決しようとしないでいることが、いちばんよくない気がします。出産して復職してからも、そんなことがたくさん起きるかもしれません。一つひとつのそんな機会に、自分と向き合って、自分でアクションして、問題をクリアにしていきましょう。そういう行動こそが、多くの後輩女性の道を作っていくのだと、私は思うのです。

 ※読者の皆様からのお悩み、ご相談を募集します。こちらのアドレス(onna-sodan@toyokeizai.co.jp)まで、年齢、ご職業等を記載のうえお寄せください。掲載は匿名といたします。


 

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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