「10年後のグリーについて話そう」 創業10年、過去・現在・未来を語る(4)
山田:すると他社との違いというのは、そういったことを理解しながら丁寧に進めていくというところですか。
田中:われわれは本当のベンチャーというより、ベンチャー的なマインドを持ちながらも資本力を持っている会社です。世の中を変えながらも、社会ときちんと折り合いながらやるのかということができると思います。これまで10年の反省を生かせれば、次の10年には、この会社にしかできないことができると思います。
山田:10年後もグリーという会社はありますか。
田中:えっ?
山田:外から見ると、楽天と一緒になっちゃってもいいのかな、とも思いますが。
田中:嫌ですよ、それ(笑)。
山田:そうすると強い会社になりますよ。事業内容は補完関係にあるし、三木谷社長とは仲もいいでしょうし。
田中:いや、それは本当にないです。無くなることはないです。この会社の良さというのは、創業者がいて、株主構成的にも安定株主としていることで、安定した経営というか、ロングスパンで考える経営ができることです。それ自体が非常に強みだなと思っていますし、実際、インターネット業界でうまくいっている会社って、そういう会社が多いですよね。
特にこういうゲームとかエンターテインメント性とか、ボラティリティが絡むビジネスとなると、さらにその傾向があります。いわゆるコンソールゲームは今、そういう会社が多いですよね。だからよほど強固なビジネス基盤ができるまでは、そういった会社がいいなと思っているので、今の強みを生かしたいと思います。ですから10年後もグリーはありますよ。
山田:10年後、1つの柱はゲームだけれども、他の柱としてウーバー的、エアビーアンドビー的な新しい柱がいくつかある、それが10年後の会社のイメージですか。
田中:それに越したことはないと思っています、まだ10年間もあるので。
利益率ではなく利益額を重視したい
山田:このときに、利益率ってどうなっていると思いますか。
田中:利益率というより利益額を重視したいですね。利益額という意味においては、ゲームはボラティリティがすごい。他社さんでも1本ゲームが当たっただけで、利益が500億、1000億、2000億という単位で出ます。これがさらに伸びていくわけですから、それは続くと思うんですよ。でも必ずしも毎年、伸びていくものではない。だからこそ、それ以外のビジネスと組み合わせることで平準化させたいと思います。
山田:新事業をやらずに、そういうボラティリティがあるということを納得させた上で、それに納得した株主だけが株を買ってくれればいいんだ、と開き直ることもできます。つまりは、田中さん自身が、ゲーム以外のところにも当然、関心があるからこそ、新しいことをやるわけですよね。インターネットで世界をよりよくするというのは、ゲームという限られた領域に自分たちの事業領域を絞ることではないという思いがあるわけですよね。
田中:そうです。もっといろいろできることがある。たまたまゲームなのであって、ゲームだけにとどまる必要はないと思っています。
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