「10年後のグリーについて話そう」 創業10年、過去・現在・未来を語る(4)
山田:というより、今振り返るとフェイスブックはSNSのパイオニアみたいに言われていますけれども、別にそうではないですよね。それと似たようなものは、その前にもいっぱいありましたよ。でもなくなってしまった。
田中:そうです。もっといろいろありましたよね。Orkut(Googleが買収したSNS)がありましたし。
山田:そうです。大きな目で見れば、パソコン通信だってSNSですし、マスに広がる前には同じ要素のものはある。やはりマスに広がる瞬間を掴んだときに、ビジネスとして成功するわけですね。
田中:そうなんですよね。だからこれから一段とマスへ広がる瞬間が大事になると思っています。いくら普及したとはいえ、スマートフォンは非常に高いので、これが劇的に安くなった時代、そしてモノのインターネットという時代になったときには、もう一段、マスのビジネスに変化すると思うんですよ。
山田:最後なのですが、さきほど筋トレの話がありましたけれども、だいぶ会社の筋肉は変わってきましたか。
田中:劇的に変化していると思いますね。少なくとも、新規事業を生み出す、ということはできるようになりました。
そもそも、インターネットのベンチャーって、楽天、サイバーエージェント、DeNA、ミクシィなど、みんな1990年代に創業していますよね。2000年代中盤になってから創業した会社で、今のような規模の会社って、少ないなと思っているんですよ。ある意味、最後発で始めたわけです。
なんとか、そういう先輩の会社に追いついていかないと革新的なビジネスはできないと思って、10年間やってきたんですけど、結果的には、社員も増えた。拠点としては、アメリカにもオフィスができた。きちんとした財務基盤もできた。そういった意味では、何かをやれた10年だと思うんです。だって、10年前は、「何か新しいことをしたい。ソーシャルネットワークをやりたい」と思っても、おカネも何もないし、人もいなかった。友達しかいなくて、社員はいないというところで始めました。
自分が何かやりたいと思っても、何もできないという状況から始まったわけですけど、今は違います。何かしようと思ったときに、何かできる体制をつくりたいな、と思って会社をつくったわけなので、そういった意味では、何か新しいことができるようなプラットフォームができたということが、僕にとっては一番成し遂げたと思うことの1つです。
やり続けていくことが重要
山田:おカネもあるし、人材もある。あと必要なものは何でしょうか。
田中:やり続けることが、すごく重要だと思います。すぐに諦めちゃう人が多いんですが、続けていくことが重要です。
山田:初期のアマゾンじゃないですけど、短期的に稼ぐのではなくて、中長期をにらんだ上で、やっていくものは粘り強く、ブレずにやっていこうということでしょうか。
田中:そうです。そういうことが実際にできる会社ですからね、資本的にも、株主的にも。
山田:その考えを支持してくれる人だけが株を買ってくれればいい、って宣言したらどうですか。うちは短期的な利益を追っているんじゃないぞ、って。大きな成功のためには赤字になることだってあるぞ、と。
田中:いやいや、そこはなかなか。株式市場としては当然、安定的に収益を上げていくことを求めますし、私自身もそれが大切だと思っています。でも、それは結果的なものであって、約束できるものではない。だから、「安定的な収益成長を目指します」とは思いますし、言いますよ。ただ、短期的なことではなくて、本質的には中期的・長期的なことなので、最大の株主としては中長期的な成功を願っているんです。
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