「10年後のグリーについて話そう」 創業10年、過去・現在・未来を語る(4)

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山田:やり始めた10年前は、もともとゲームじゃないわけですね。

田中:僕、思っているんですけど、グーグルさえも、たぶん今の若い人に聞いたら、「YouTubeの会社でしょ」か「携帯の会社でしょ」とかいうことになると思うんですよ。「検索エンジンの会社」と言う人は、たぶん少ない。広告のマーケットプレースの会社であることなんて、もはや多くの人は知らない。

山田:今となっては、ingress(イングレス)の会社だと思われているんじゃないですか。

田中:そうかもしれません。あとはソニーだって、もはや音楽の会社なのか、ゲームの会社なのか、映画の会社なのかわからないし。そういうふうに変わっていくものだなと思うので、だから別に違う事業をどんどん始めていくことのほうが、むしろ普通なのかなと思いますけどね。

中長期的な成長戦略を考える

山田:今、田中さん自身は、細かいオペレーションというのは、権限委譲をしながら、そうした中長期的な戦略に専念しているんですか。

田中:当然、会社のいろいろな組織づくりとか、人づくりとかが、1個のテーマです。もう1個の重要なテーマは、次の事業分野とか、大きな今のインターネット業界の流れというものを見定めていくということです。この2つが、自分の大きな仕事だと思っています。かつても、「次はソーシャルネットワークが来る」とか、「次はモバイルだ」とか、「次はゲームをつくったほうがいい」とか、そういう大きなトレンドのセッティングというのは、自分でやってきました。引き続き、次はこういうことをやったほうがいいなということについては、誰よりも早く確信を持って自分の中で考える、ということをやりたいと思っています。

山田:新しいことをやる、というのはトレンドが来る半年前、1年前くらい前が、ちょうどいいんでしょうね。あまり早すぎると大きくは伸びずに消えてしまいますよね。

田中:そうですね。だから本当にエアビーアンドビーとかウーバーはその典型と思っていまして。あれが、じゃあ10年前にあったとしてもダメでしょう。

山田:アイディアとしては10年前でもあり得ましたよ。

田中:あったけど、10年前に成功したかというと、しなかったと思うんですよね。だからあれはまさに、そういう意味では、あのタイミングだなと思いましたね。

山田:そういう意味では、いいポイントでやるためには、誰にも内緒にして準備をしつつ、ある時期になって一気にやる、という事業展開の在り方もあるんですかね? 慌ててやるのではなくて。

田中:そのとおりです。ですから、「今、どういうことを考えてますか?」と言われても、あんまり言えないんですよ(笑)。

山田:グリーは、「うまくタイミングを見ながら新事業を出していく会社」という点で独自性を発揮できるかもしれない。

田中:タイミングはものすごく重要だと思っています。フェイスブックなりソーシャルネットワークも2000年代前半だからよかったものであって、1999年につくっていたら違うと思うんですよ。今つくっても遅い。本当に、だからこの2、3年、こういうのをつくったほうがいいね、というスポットが現れると思うので、そこに向けてつくるという感じでやっていきたいですね。

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