ミタルの大胆買収、鉄鋼最大手への立志伝 個人資産600億ドルの"富の神"

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2013年4月、フランス国内での生産計画を説明するためにフランス議会を訪れたラクシュミ・ミタル氏
(写真:ロイター/アフロ)

インドが輩出した現役のトップクラスの経営者といえば、誰を思い浮かべるだろうか。ITに詳しい人なら、今年2月にCEOに就任したマイクロソフトのサティヤ・ナデラ氏を思い出すだろう。あるいはマイクロソフトと同じ米国企業であるペプシコのインドラ・ヌーイCEOを思い出す人もいるかもしれない。

しかしその実績で他を圧倒する人物といえば間違いなく、鉄鋼最大手アルセロール・ミタル(本社・ルクセンブルク)のCEOを務めるラクシュミ・ミタル氏だろう。

世界でも指折りの富豪

ミタル氏は、業績不振の鉄鋼会社を買収し、利益を生む企業に生まれ変わらせる錬金術師的な手腕で知られる。ラクシュミという名はヒンドゥー教で「富の神」を意味するが、その名の通り個人資産600億ドルを誇る世界指折りの富豪だ。経営には息子ら一族でかかわっており、アルセロール・ミタルの株式の43%を一族が所有している。2004年に行われたミタル氏の娘の結婚式は、世界一豪華な結婚式として知られている。23歳の娘ヴァニーシャのために6日間にわたるお祝いに7000万ドルもを注ぎ込んだというのだ。

ミタル家が鉄鋼業に携わったのは、ミタル氏の父親の代からだ。英国の小規模な鉄鋼会社で働いていた父親は、後に自らの製鉄所を設立。1950年に生まれたミタル氏は、父親の会社で東南アジアや中東向けの鉄鋼輸出に貢献した。若いころは頻繁にあちこち飛び回っていたが、転機となったのは26歳のときにインドネシアで自らの会社を設立したことだ。

当初、インドネシアの小売業に進出したミタル氏だが、棒材の価格を調べ、現地の鉄鋼産業に大きな可能性があることに気づく。そこでインドネシアに直接還元鉄(DRI)技術を持つ小さな製鋼所を設立したところ、初年度だけで100万ドルの利益を得た。これを踏み台に、ミタル氏は直接還元鉄を供給していたトリニダード・トバゴやそのほかのカリブ海諸国で不採算に陥った多くの鉄鋼会社を買収していく。

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