数十万円もするデニムが「平然と買われる」異変 劣化しにくいデニムは今や「優秀な投資商品」
当時の社長ご夫妻は貿易関係という仕事柄、1970年代に頻繁に渡米をしていたそうで、アメリカではファッションとしてデニムが浸透していたこともあり、これは日本でも流行るのではと考え、売れ残った古いデニムを中心に日本でも販売しようと思ったそうです。
現地でトラックを借りて、ご夫婦で一緒に可能な限りアメリカ中のジーンズショップを回ったそうです。パソコンやスマホはない時代だったので、電話帳で調べて、店名に「JEANS」とか「WESTERN」という文字があると、その住所を目がけて訪れていました。
そして、お店のストックルームには売れ残った古いデニム、当時であれば66前期(11973〜76年頃に製造された「リーバイスⓇ」501Ⓡの呼称)以前のモデルだったと思いますが、日本人のサイズに合うものだけを根こそぎ買っていたそうです。在庫品を大量にまとめ買いするわけですから、その分ディスカウントされ、さらに安く仕入れることができたそうです。
デッドストックの「リーバイスⓇ」501ⓇXXが日本で約3万円だったそうですが、当時の貨幣価値からすると、3万円は高額だったと思います。私も昔アメリカで値札が付いたXXを発掘したことはありますが、たしか6ドルくらいだっと記憶しています。1ドルが360円の時代ですからアメリカでは約2000円で売られていたことになりますが、ディスカウントして買い取っているので、仕入れ値はおそらく1000円くらいだったのだと思います。それが3万円で売られていたわけです。
今年のベルベルジンの初売りでは、ありがたいことに1000万円のGジャンが売れました。今後このGジャンが値上がりするかどうかはわかりません。でも腕時計やギターのように細かなメンテナスを必要とせず、スニーカーのように著しく劣化しないデニムであれば、投資対象として魅力があると思います。
高額なヴィンテージアイテムでなくても、例えば1980年代の「チャンピオン」のリバースウィーブは、現在の市場価格は1万円前後ですが、カラーがブラックになると途端に3万円に跳ね上がるものもあるので、今後はトレンドにアンテナを立てて、少しでも流行っているものを先回りして購入しておくというのもありかもしれません。
高騰したアイテムにどんなものが?
10年前、デッドストックではないのですが、真っ紺でコンディション抜群、サイズは実寸でW32〜34、L31〜32のゴールデンサイズで、レザーパッチを備えた501ⓇXXに、ベルベルジンでは59万8000円を付けていましたが、2015年に拙著『THE 501®XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』が出版されると、紹介したデニムがさらに高値で取引されるようになり、これが市場価格高騰の要因の一つになったと思います。当時501ⓇXXは100万円くらいまで上がり、今では200万円前後になっています。
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