アウトランダーPHEV「逞しさ」を身に着けた背景 理由は2つ「過去評価」と「アライアンス」

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フロントやサイドと比べると、上下に薄い横長のリアコンビランプを高い位置に置いた後ろ姿は、最近のSUVのトレンドに沿ったものでもあり主張は控えめだが、水平基調としたおかげで落ち着きが伝わってくる。

ボディサイズがひとまわり大きくなったことも、ポイントだ。先代後期型と比べると、全長は15mm長い4710mm、全幅は60mm幅広い1860mm、全高は35mm高い1745mmと、全方位的に拡大している。

リアコンビランプは水平基調のデザインを採用する(写真:三菱自動車)

ホイールベースは2705mmで、こちらは35mmの延長だ。実は先代のホイールベースは、エクリプス クロスやRVRと同一だった。3台のプラットフォームが共通だったためだ。対する新型は、アライアンスのプラットフォームを共有する新型エクストレイルと同じ数字になっている。

たしかに運転しても大きくなったと感じるが、PHEVもラインナップするエクリプス クロスとの差別化を明確にするという点では、プラットフォームの切り替えは好ましい方向に働いていると思った。

細かい部分ではあるが、ドアパネルがサイドシルをカバーするように下まで伸びていることもありがたい。エクリプス クロスと同じ構造で、乗り降りの際に衣服の裾がサイドシルに触れて汚れることを防げる。ドレッシーなファッションでもスマートにドライブできそうだ。

インテリアの質感アップにも注目を

インテリアは、クオリティアップが目立つ。ブラックをベースにホワイトやベージュを組み合わせた配色もさることながら、ブラックのトリムも表面のツヤを抑えてあるなど、細部にまで気を配っていることが理解できる。

カラーリングも含め、質感の向上が著しいインテリア(写真:三菱自動車)

水平基調のインパネはシンプルでスイッチも整理されており、モダンな眺めだ。それでいて線の太さを感じるところが三菱らしい。

PHEVでも3列シート7人乗りが選べるようになったことも、新型の特徴だ。

先代のPHEVモデルにはなかった7人乗りが実現している(写真:三菱自動車)

シートは前席のみならず2列目もスライド可能で、もっとも後ろにセットすれば、身長170cmの筆者は楽に足が組める。逆に3列目を使う際には、2列目を前にスライドさせれば必要十分な空間が確保できる。

3列目の折り畳み方は、ヘッドレストを格納し、シートバックを前に倒したあと、全体を後ろ側に回転させてフロアに収める方式。床下に後輪駆動用モーターを収めることから凝ったアクションになったようだが、きれいにフラットに収まるし、操作系もわかりやすかった。

現在はデビュー直後ということもあり、逞しいエクステリアに注目が集まっているようだが、今後ユーザーが増えるにつれて、上質になったインテリアや多彩なユーティリティを評価する声も多くなり、人気が持続するのではないかと思っている。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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