アウトランダーPHEV「逞しさ」を身に着けた背景 理由は2つ「過去評価」と「アライアンス」

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PHEVとしては2世代目となった「アウトランダーPHEV」(写真:三菱自動車)

2021年10月28日に先行受注が始まり、12月16日に発売された三菱自動車工業の新型「アウトランダーPHEV」が好調だ。

同社によれば2月5日時点で累計受注台数は1万台を超えており、月販1000台という販売計画を大きく上回った。しかも、500万円を超える最上級グレードの「P」が約8割を占めているという。

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カーボンニュートラルへの関心の高まり、気候変動による自然災害の多発といった状況を前にして、ただ環境に優しいだけでなく、電気自動車(BEV)と違って電欠の心配がないこと、外部給電機能も備えるという安心感、以前からこのシステムを作り続けてきた信頼感などが、販売を後押ししているのだろう。

さらにインターネットの書き込みを見ると、デザインにも好感を抱く人が多いようだ。デザインコンセプトとして「BOLD STRIDE」を掲げ、力強さや存在感を強調した姿が、「三菱らしい」「SUVらしい」と評価されている。

逞しいデザインを生んだ2つの背景

このデザインコンセプトには、2つの意味が含まれていると思っている。1つはこれまでアウトランダーが受けてきた評価への対応だ。

アウトランダーは、昨年デビュー20周年を迎えた相応のキャリアを持つグローバルモデルだ。ただし、2001年に発売された初代モデルは、日本では「エアトレック」を名乗り、2005年に出た2代目から海外と同じアウトランダーになっている。

国内で初めて「アウトランダー」を名乗った先々代モデル(写真:三菱自動車)

プラグインハイブリッド(PHEV)が追加されたのは2012年発売の3代目で、これを機に地球環境を重視するヨーロッパなどでの人気が上昇。バッテリーだけで60km以上走行可能という数字は、その後のPHEVのベンチマークとなった。

しかしながら、好評の一方で内外装の質感が物足りないといった声も寄せられていた。そこで、2015年のマイナーチェンジで、その後の三菱車に展開されるフロントマスク「ダイナミックシールド」をいち早く投入するとともに、インテリアのクオリティを向上させた。

ダイナミックシールドを採用した先代「アウトランダーPHEV」マイナーチェンジモデル(写真:三菱自動車)

この改良も功を奏したようで、2021年9月末までに29万台という累計販売台数を記録している。でも、マイナーチェンジでできることは限られている。新型には、その部分を満足の行くレベルまで引き上げるという目的もあったはずだ。

もう1つ考えられるのは、ルノー・日産・三菱アライアンスの中での位置付けだ。

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