元日本代表40歳「現役続行する男」が挫けない理由 山瀬功治は自分自身で限界を決めない

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自分が過去に所属していた6クラブと愛媛の大きな違いとして、環境面が挙げられる。

自前のクラブハウス施設を持っていないため、グラウンドは1カ所ではなく、人工芝の場合も多い。足腰にかかる負担はどうしても大きくなり、治療やマッサージを受ける回数が増えていく。加えて移動や待ち時間といった問題も生まれる。また、練習場所も毎日変わるのでスパイクなどの道具は車の中に積みっぱなしに。

とはいえ、与えられた環境をどのように利用し、工夫するかは自分次第だ。「○○がないからできない」と考えるのをやめてしまうのは簡単なこと。「あるものを使ってどうにかする」という考え方で創意工夫を繰り返していくことが大切ではないだろうか。

与えられた課題から逃げないで生きる

最初からすべてがそろっていれば苦労は減るが、その反面で試行する能力や意識はなかなか身に付かない。それに自分は困難から逃げ出すのが嫌いだ。自分自身に負けたということになってしまう気がする。

学生時代は「とにかく走る」という練習メニューもあった。つらいし、苦しい。だから走る練習は好きではない。

でも手を抜くことはしない。ラクをするという道を選んだ瞬間、自分自身の弱さにつながってしまう。だから与えられた課題から逃げないで生きる。

試合中は逃げるわけにいかないのだから。例えば、カウンターを受けた場面では全力疾走で自陣に戻るしかない。日々の姿勢や向き合い方がそういった場面での踏ん張りにつながると信じている。

サッカーに限った話ではない。昨今、世の中は新型コロナウイルス感染症の影響で大きく変わりつつある。

多くの人が行動を制限せざるをえなかったはずで、そんなときこそ知恵を振り絞って新たな可能性を探ってきた。

仕事だけでなくプライベートでも同じで「ステイホームを充実させるためにどうするか」は日本全体、ひいては全世界に共通するテーマのはず。テレビ番組でもそういった特集が組まれているのをたくさん目にしたし、ピンチをチャンスに変えた企業も少なくない。既成の概念を覆すような発想の転換ができれば新たな発見や楽しみを見つけ出せる。

環境を言いわけにしない。逃げない、妥協しない。愛媛で過ごした時間が、自分の人生観をさらに強固なものにしてくれた。

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