「所持品ゼロ生活」で気づいた"インテリアの極意" 昼過ぎに出現する「陽だまり」がお気に入りに

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とはいえそんなふうに振り切るのは、工夫するのがよっぽど苦になってからでもいい。私はシンプルライフを経験して、何もない部屋が自分のセンスよりかっこいいことを実感したけれど、これからも試行錯誤を続けるだろう。鏡や花瓶やトレーの場所をああでもないこうでもないと変えるのは楽しいし、部屋に合うかよりも、グっとくるかどうかで絵を買いたい日もあるからだ。うまくいかないことは悪いことではない。

陽だまりは動くインテリア

100日の間にいくつかの取材を受けた。その中にこだわりの部屋を紹介するメディアがあり、私はほとんど何もない部屋のこだわりポイントを説明しなければいけなかった。「この部屋で気に入っている場所はどこですか」と聞かれて、苦し紛れに床を指差し、あそこの陽だまりです、と言った。苦し紛れではあったが気に入っているのは本当だ。

晴れていれば14時頃、窓に切り取られた四角い光が部屋の隅に出現する。あそこで本を読むのが好き。陽だまりは形を変えながらどんどん動いていって、おっ、今の角度かなりいいですねえ、という瞬間がある。これまでも部屋に入ってくる光は好きだったが、家具も道具もないぶん、今までよりはっきりと陽だまりを認識した。裸の陽だまりが見えた。

別におしゃれな部屋じゃなくても、センスのいい家具を持っていなくても、「昼過ぎあの辺りに出現する陽だまり」をそういったものとしてカウントしていいのではないか。部屋にはもともとかっこいい部分がある。

●モノなし生活は防災訓練にもなる

最初の1、2週間は結果的に防災訓練にもなっていた。災害時、何が手元にあってほしいのか。もちろん本当に被災した時だったら、通信手段としてまずスマホは絶対持っておきたいとか細かい違いはある。しかし着の身着のままでいる際に心と体が何を求めるか実感として知っておくことは、きっと何かの役に立つはずだ。

床にずっとは座っていられないこと。毛布があれば心も落ち着くこと。裸足では一歩も外に出られないこと。歯ブラシがないと元気がなくなっていくこと。本があれば自分の世界を守れることや、爪切りはわりとすぐ必要になることなどなど。自分のために防災アイテムを準備する際はもちろん、被災した誰かをサポートする時などにも思い出したい肌感覚だった。

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