「所持品ゼロ生活」で気づいた"インテリアの極意" 昼過ぎに出現する「陽だまり」がお気に入りに

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●家がちゃんと回復する場所になる

部屋にモノが少ないと、圧倒的に気持ちいい。毎日ホテルに泊まっている気分になる。出かけていても「早くあの快適空間に帰りたい」と思う時があった。家にいるだけで疲れがどんどん回復していくのがわかる。

疲れている時に散らかっている部屋に帰るとさらに疲れる。でも、問題は散らかっているかどうかだけじゃないかもしれない。これまでは部屋の中の全体的な情報量が多かったように思う。あらゆる商品のパッケージ、部屋干ししてある色とりどりの服、出しっ放しにしているティーポット、などなど。

シンプルライフを始めて、白い壁や何も置かれていない床を見て安心する気持ちを見つけた。すべてを減らすことは難しいけれど、少しだけでも余白を残しておけばきっと逃げ場が生まれる。視界に情報が入らない状態を作れば、脳をサボらせてあげることができる。

何もない部屋で過ごすと1時間が4時間くらいに感じる

スマホもテレビも本も何も持たずに、がらんと何もない部屋で過ごしてみたら、人生の時間がふっと止まった。最初のうちは手持ち無沙汰でとにかく暇で苦しかった。やることがない。圧倒的な無。心臓の音が聞こえそうなくらい静か。なんとなく自分と向き合わなきゃいけない気もして、かなり修行っぽいなと思った。

でもしばらくすると、ここにあるのは無ではないことに気づき始める。窓を開けると虫の大合唱が部屋の中に流れ込んできて、こんなに大きい音だったんだ、と思った。何もない部屋で、夜の匂いはキラーコンテンツだった。嗅いでいるだけで楽しい。窓を開ける、耳をすます、頬に風を受ける。逆立ちする、自分の身体の重さを知る。時間にとらわれない、損得を理由にしない行動は五感のストレッチみたいだ。

にぶっていた感性がだんだん研ぎ澄まされていって、時間を「過ごす」のではなくて、時間の中にいるんだ、という感じがした。いつも焦ってどんどん先のことばかり頭で考えて、感じることを置き去りにしていたのかもしれない。ただその場に居るということを楽しめるようになったのが嬉しかった。

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