9割の「平均的な能力の社員」を主戦力にする方法 「できる社員」に直接"成功要因"を聞いてもダメ

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同じようにハイパフォーマーについて、首都圏で20店舗ほどのフィットネスクラブで分析したことがあります。フィットネスクラブに体験に来た方に対して、ハイパフォーマーYさんが接客するとほぼ100%入会します。ところが、平均的な入会率だと5~6割、低い人の入会率だと、1~2割なのです。

現場は、Yさんにインタビューなどをしていたのですが、高業績のポイントを特定できていませんでした。その結果、「Yさんは違うからね」とほかの人ができない理由を合理化する風潮さえありました。

前述のように、ハイパフォーマーの高業績を上げるポイントは、ミドルパフォーマーの活動との比較で見つけられることが多いのです。実際、同社でもそうでした。

接客フローの順番に差

比較してわかったことは、接客フローの順番でした。平均的なミドルパフォーマーの接客フローは、施設見学→「①感想ヒヤリング」→「②入会について」の順でした。

ところがハイパフォーマーであるYさんの接客フローは、施設見学→「①入会時期確認」→「②感想ヒヤリング」という順番でした。施設見学後の2つの接客フローの順番が反対だったのです。

ハイパフォーマーのYさんは、施設見学をした後に、「①入会時期確認」をしています。わざわざ施設まで見学に来た人です。入会意欲が高いと仮定して接客していたのです。ですから、「入会」する前提で「いつ」入会するのかを確認しているわけです(具体的には、「今日から利用するのか」「来週から利用するのか」を聞いていたのです)。同社のミッションは、「運動習慣により健康寿命を延ばす」でした。運動習慣をつけるのは、1日でも早いほうがいいでしょう。ミッションにも合致しているわけです。

ところが、ミドルパフォーマーは、「①感想ヒヤリング」→「②入会について」という接客フローなのです。「①感想ヒヤリング」からするのは、ある意味当たり前のように感じるかもしれません。

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