9割の「平均的な能力の社員」を主戦力にする方法 「できる社員」に直接"成功要因"を聞いてもダメ

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特定するための、具体的な手順は次のとおりです。まずは定量データで概観をつかみます。毎週、部署(店舗)全体、個人の各種データを把握します。

データを漫然と見ていても現場で起きていることはわかりません。データを見る際は、絶対値も大事なのですが、変化に着目すると有効な場合が多いのです。

たとえば、時系列でマッチング数や率のデータの変化を見ていきます。ハイパフォーマーの数値が悪くなった、あるいは、逆にミドルパフォーマーの数値がよくなった、という変化を見つけることができます。これらの変化には、「原因」があります。何かを始めた、あるいは何かをやめた、それが変化の原因です。新たに始めた、あるいはやめたことが好業績のポイントであったりするのです。

そして、それが個人だけの変化なのか、チームや組織全体で起きている変化なのかを数値で把握します。チームや組織でいい変化が起きている場合があります。その場合、すでにその組織内で、どうやればいい結果が出るか、イメージがある可能性があります。そうなればしめたものです。

このいい兆しの仮説を、他組織へ横展開ができる可能性があるからです。

もちろん定量情報だけでは、仮説立案には不十分です。

次に定性情報を加えます。

比較して差異点を見つける

私が、この組織で実施していた例を紹介しましょう。

当時各チームで毎週実施している「チーム会」のアジェンダと議事メモ(簡易な議事録)をイントラネット上(現在のクラウド)に掲示してもらっていました。

これを見ると、全体戦略をメンバーにどのように伝えているのか、あるいはきちんと伝えていないのかが把握できます。あるいは、チーム独自の活動をしていることも把握できます。つまり、何かをやり始めたり、やめたりしているのか想像できるのです。先ほどの定量情報から作った仮説にこれらの定性情報を加えることで、個人やチームで起きている仮説を強化できるのです。

そして、その仮説が正しいのかを現地メンバーへのインタビューで確認します。対象チームやメンバーは、先述の定量データと定性情報により絞り込みます。

そしてメンバー、リーダーとの面談を通じて、その店舗だけの特殊な話なのか、組織全体に展開できるテーマなのかを確認します。後者である場合は、リーダー全体の会議で事例共有し、全体で実行できるようにしていました。

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