焼肉屋で選ばれる代替肉「ネクストミーツ」の正体 「ステイホーム」も代替肉が注目される理由に

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起業の理由について、代表取締役の佐々木英之氏は次のように説明する。

「テスラのように、持続可能な社会に向けて貢献できるビジネスをしたい、という思いがまずあり、代替肉に関心をもつようになりました」

畜産業は世界の温室効果ガス排出量の約15%を占める。これは意外なことに、輸送業とほぼ同じレベルなのだという。また飼育土地確保のための森林伐採、飼料栽培のための水の大量消費等、実は環境への負荷が高い産業だったのだ。

300回近くの試食を繰り返した

佐々木氏は新規事業立ち上げの支援などコンサルティング業、共同創業者であり会長の白井良氏は証券会社勤務のほかベンチャー企業立ち上げなどの経歴の持ち主で、どちらも代替肉に関しては門外漢だった。商品の開発にはおよそ3年間かかったという。「おいしくなければ肉の代わりとして選んでもらえない」と考えたためだ。見た目と食感、味などを徹底的に追求し、300回近くの試食を繰り返したという。

ネクストミーツの定番商品「NEXTカルビ1.1」。本物の肉のような食感、味を追求した(写真:ネクストミーツ)

「アメリカではビヨンド・ミートのような、代替肉を専門とする会社のイメージが強いのですが、日本ではいくつかの事業の1つとして、代替肉を扱っているところが多いですよね。食品の市場も、スタートアップにとって難しい印象があります。逆を言えば、ゼロからのスタートなので、常識にとらわれずに挑戦できるのが強みだと思っています」(佐々木氏)

驚くのが発売後の展開だ。2021年1月にアメリカの証券市場OTCブリティンボードにSPAC(特別買収目的会社)の仕組みを使って上場、日本円にして約468億円の総額を達成し、「ユニコーン企業」の1つに数えられるまでになる。

「まずアメリカでの上場を狙った理由は、世界を見据えたビジネスを展開するため。スタートアップやベンチャーが集積しており、代替肉の市場も大きいアメリカで、アメリカの資本主義を活用して始めたということです」(佐々木氏)

日本では前述のとおり、取り扱い店舗を広げ、リピーターも増えてきている。このたび、取り扱い店舗の1つである焼肉ライクにも話を聞いた。

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