環境に悪くても「牛肉」を食べ続けてしまう必然 肉好きが食べる量を減らすと何が起こるか

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牛肉の消費が地球環境に「どう」影響するのか、ご存じでしょうか? (写真:shige hattori/PIXTA)
「食べる」という限りなく身近な行為と地球規模のさまざまな課題は、実は密接につながっています。最近では牛肉の消費が地球環境に少なからず影響すると知っている人もいると思いますが、実際「どう」影響するのかはほとんどの人が知らないでしょう。そこで本稿では、食が私たち自身と世界に与える影響についての研究を専門とする経済学者で、『食べる経済学』著者の下川哲氏が、普段の食事と地球の気候変動にまつわる関係性と思い込みについて紹介します。

環境に悪いとはわかっているが…

気候変動に対する人々の関心や危機感は、ここ数年で急速に高まっています。一方で、私たちが肉を食べ過ぎることが地球に大きな負担をかけており、地球温暖化にもつながっていることを知っている人はまだ少ないかもしれません。

特に、牛肉を食べることによる地球への負担は大きく、逆に牛肉を食べることを控えれば地球への負担を大きく減らせることを、普段から意識している人はかなり少数派だと思います。

たとえば、牛丼1杯の消費を我慢するだけで、水約540リットルと農地約1平方メートルを節約でき、温室効果ガス(GHG)も削減できるといわれています。これは、牛丼に使われている牛肉を生産するため、つまり牛を育てるために、膨大な量の水とトウモロコシなどの飼料作物と、それら作物を育てるための水と耕地を必要とし、ゲップや糞から大量のGHGが排出されているからです。そのため、牛肉数百グラムを生産するだけでも、かなりの自然資源が必要になるのです。

ここで重要な点は、水も土地も限られた資源だということです。2050年までに世界人口は100億人に達する可能性があり、食料生産も現在の1.7倍にまで増やす必要があると言われています。

だからといって地球上の水や土地が増えることはありません。また、人間活動との因果関係はさておき、地球温暖化と気候変動が待ったなしで進行していることは事実で、このような変化は食料生産にも影響してきます。

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