焼肉屋で選ばれる代替肉「ネクストミーツ」の正体 「ステイホーム」も代替肉が注目される理由に

拡大
縮小
ネクストミーツ代表取締役の佐々木英之氏。ふだんは自らも肉食を避けているが、TPOに合わせ食べることもあるというフレキシタリアンだ(筆者撮影)

焼肉ライクはひとり席スタイル、換気環境、タッチパネル、セルフレジ&セルフキャリーなどで人同士の接触を極力低減するスタイルの焼肉専門店。時短営業なので影響は受けているが、通常営業時は好調だったそうだ。2020年から2022年2月末までに50店舗の出店を遂げている。

食の多様性が広がる中で、10年後、20年後を見据え2020年10月に、ネクストミーツの代替肉を試験的に導入。予想以上の反響を得て、同年12月に全店舗展開へ移行し、2022年1月にはバージョンアップした「NEXT大判カルビ2.0」に切り換えて販売しているそうだ。NEXT大判カルビ2.0は50gで320円と、定番の「匠カルビ」の50g290円よりは若干割高な程度。同社の代表取締役社長の有村壮央(もりひさ)氏は代替肉の導入について次のように説明する。

「いつかやるのであれば、どこよりもいち早く実施したいとの思いがありました。実際、『日本初の代替肉を扱う焼肉屋』として注目していただけたと思います。ヴィーガンの方やお肉が苦手な方が来店してくれるようになり、一部なので売り上げとしては大きくありませんが、販売時からずっと落ちることなく支持されているメニューです」(有村氏)

「お肉独特の脂がないので気持ち悪くならない」

反響の声としては

「焼肉屋さんで植物性のお肉が食べられる日がくるとは夢のよう」「弾力もお肉と変わらず、お肉独特の脂がないので気持ち悪くならない」「お肉としては物足りないけれど、大豆にしてはお肉感があるし食べられる」「再現度が高く感じる。肉と脂が口の中で裂ける、肉の筋のような食感が再現されていた」などがあるそうだ。

公式オンラインストアのほか、イトーヨーカドー(写真、全店で導入)やライフ(一部店舗)などのスーパーでも販売されている(写真:ネクストミーツ)

冒頭でも説明したように、「地球のため」というメッセージを強く打ち出してはいるが、市場を広げるには一般消費者に選んでもらう必要がある。決め手となるのは味と価格だ。味については焼肉ライクの例でもわかるように、すでにある程度達成されている。

次は価格の低下に取り組んでいきたいという。現在スーパーではNEXTカルビ(80g)を1パックおよそ420円で発売。これはちょうど、高級牛肉と同程度の設定だそうだ。加工に費用がかかるので、生産効率を見直し、もう少し一般的な肉の値段を目指すという。

次ページ百貨店でイベントを実施
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT