世界的哲学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏が、イギリスのガーディアン紙に寄稿した「プーチンは負けた――ウラジーミル・プーチンがすでにこの戦争に敗れた理由」という記事が話題になりましたが、彼はその中で、「突き詰めれば、国家はみな物語の上に築かれている」と述べています。
「ウクライナの人々が、この先の暗い日々だけではなく、今後何十年も何世代も語り続けることになる物語が、日を追って積み重なっている」。そうした「物語の力」はとてつもなく大きいということなのです。
この卓越した「伝える力」は、第2次世界大戦中のイギリスを率い勝利に導いたウィンストン・チャーチルをも彷彿とさせます。
「高いコミュニケーション力・言葉力」「前線に立ち続ける勇敢さ」「人とつながる力」「融和を拒否する妥協なき姿勢」「勝利を信じる力」「ユーモア」などは、まさにチャーチルと通底しています。
また、日経新聞の記事によれば、ロシアの侵攻を受けて、デジタル転換省を2日間でデジタル戦線の戦闘部隊に改組し、若い技術者らを中心に、徹底した「デジタル外交」を展開しているのだそうです。「SNS(交流サイト)や対話アプリ、ウェブサイト、プッシュ通知、バナー広告、動画広告などあらゆる手段を活用している」のだとか。
日本は、このままでいいのか
ウクライナはまさに国を挙げて「コミュ力」という武器で戦い、世界の共感を集めました。ひるがえって日本はどうでしょうか。
一部に「軍事力の増強」「核の共有」などを訴える声もあるようですが、それよりも、この情報化時代の新しい「コミュニケーション(プロパガンダ)戦争」に勝ち抜く力量はあるのか。そちらのほうがよほど心配です。
有事に備え、「何をすべきか」という議論の中で、国際世論の支持を獲得するコミュニケーション、デジタル戦略を最優先で考えるべきときが来ているのではないでしょうか。
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