「私は政治家ではない。私はこの(腐敗した)システムを壊そうとする普通の人間だ」という言葉どおり、彼は徹底して既得権益に縛られない「アンチエスタブリッシュメント」であることを強調してきました。
冷淡で事務的、官僚的なエスタブリッシュメントではなく、庶民の気持ちがわかるごく普通の人間だ――。これはアメリカのトランプ前大統領がよく使ったレトリックですが、人は「自分の気持ちがわかってくれる」と感じさせてくれるリーダーに、否応もなくひかれるものです。
その姿勢を体現するように、彼は自身の政党を、高校教師を演じたドラマのタイトルと同じ「Servant of the People(国民のしもべ)」と名付けました。「大工に話すときは大工の言葉を使え」というソクラテスの言葉通り、平易でわかりやすい言葉を使い、徹底して「俺たちの大統領」と思わせる戦略を貫いています。
「私たちは私たちのために戦い、私たちに仕え、私たちのために犠牲を払うリーダーについていく」と、ペンシルバニア大学ウォートン校のアダム・グラント教授はゼレンスキー大統領の言動をこうたたえていますが、まさに、その姿勢を全身全霊で体現する姿に、国民や世界の人々の支持が集まっているのでしょう。
歯切れよく「心に残るメッセージ」を発信
ゼレンスキー大統領は、たぐいまれな言葉の力で世界中の人々の心をとらえています。
「対比」「繰り返し」「韻を踏む」など「超一流のスピーチ術」を縦横無尽に駆使し、歯切れよく「心に残るメッセージ」を発信し続けています。
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