実は「人に頼るほど自分の能力も高まる」納得理由 助けられることで成長の幅が大きく広がる

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2020年から新型コロナウイルスの影響により、生活も経済も、閉塞的な状況が続いています。ただこうした逆境も、見方を変えればある意味ではチャンスに転換することもできます。

現在の日本の消費・生産の中心となる第2次ベビーブーマーたちが社会に出はじめた当時、日本全体は「バブル」と呼ばれた時代で、夢があり、いわば“順境”の時代でした。順境であればあるほど、「うまくいって当たり前」「成功も失敗も自己責任」という意識が根付くため、助けを求められない心理状態になります。

“逆境”といわれる現代では、皆が被災者ともいえる状態ですので、受援力を発揮して、助けを求めやすくなっているはずですが、やはり「自己責任」の面が強調されているように思えます。

SNSの広がりに伴って「成功者」の存在に強くフォーカスを当てすぎていないでしょうか。個人で発信できるツールが整ったことで、個人にスポットライトが当たるあまり、「個人としての才能」に目を向けがちになっていないでしょうか。私たち自身で成功者・失敗者という格差を作り、その結果、自分で自分の首を絞めることになってはいないでしょうか。

成功しなければ自己責任?

成功には個人の能力が必要だと思われがちですので、成功しなければそれは自己責任で、自分の能力がないからだと自分を責めるような気持ちになってしまうかもしれません。

でも、よく考えてみてください。「成功」の定義は1人ひとり、そして時代によって違います。また、1人で成功できた人はいません。必ず誰かの力を借りることで、その人の能力を発揮してきたのです。その人の成功の秘訣は、個人としての能力ではなく、チームとしての能力、達成力、巻き込み力でもあったはずです。そして今、本当に必要なのは、チームワークを作る「仕事現場での受援力(頼るスキル)」です。

誰もがコロナ禍という同じ災害を経験し、誰もが災害に遭った被災者となり、支援がないと生きられないと大きな声で言えるようになっています。そんな今こそ、「受援力」を磨くチャンスです。

順境でも逆境でも結局のところ、私たちは皆老いていきます。老いてさまざまな認知能力が衰えるだけでなく、1人では生きていけなくなるのです。私たちに必要なのはそれを理解して、順でも逆でも戦略的に生き抜き、周りを幸せにしつつ周りに助けてもらう力です。

だからこそ、仕事の現場ではとくに「頼る」ことを前向きに捉えることが必要になってきます。

頼ることでネットワークを作る。オープンなコミュニケーションで弱みをさらけ出す。周りに頼る自分を許す。トラブルの原因が自分だったとしても、困った時は助けを求めていい。これは自分のためではなく、長い目で見れば「みんなのため」なのだ。100年後、200年後に生きる人たちが弱音を吐きやすく、頼りやすい土壌を作ることなのだ。だから、まず自分が頼り上手になろう――と捉え直してください。

そうすることで、自分のパフォーマンスも上がり、ひいてはチーム(周囲の人や勤務先など)全体のパフォーマンスもぐっと上がるはずです。

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