「人に頼る=恥」と考える人に伝えたい重要な視点 「支援される人=能力がない人」ではない!

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人に頼る力を身につけると、新たな価値が見えてきます(写真:Graphs/PIXTA)
「リモートワークは孤独」「自己責任論に押しつぶされそう」「もっと雑談したいのにできない」「人手不足でパンク寸前」――新型コロナウイルス感染症予防で人との対話が生まれにくくなり、孤立する人の増加が問題になっています。
そのような状況の中、重要性を増すものとして「受援力(人に助けを求める力)」を挙げるのは、医師で公衆衛生学専門家の吉田穂波氏です。新著『「頼る」スキルの磨き方』を上梓した吉田氏が、自らの経験を基に、受援力がなぜ必要なのかについて解説します。

医療従事者として痛感した「受援力」の必要性

私は医療従事者としての過重労働や、海外留学中の貧困生活、6人の子育てなどを通じて、他者に助けを求め、快くサポートを受け止めることの難しさと、受援力(困ったときにほかの人に助けを求めることができる力)の必要性を痛感しました。

そして、つらい状態にいるのに、声を上げられない人にこの「受援力」を発揮してもらうために、自分の中の受援力の見つけ方・磨き方、受援力を高めるボキャブラリー、受援力を発揮することで周囲にもたらすよい効果についてさまざまな研究をし、セミナーや研修、メディアなど多様な媒体を通して伝えてきました。

受援力を理解するには、「それがないとどうなるか」を事例として知ることも手助けになります。

そこで、私が個人の生きる力として「受援力」の価値を発見したエピソードを詳しく紹介しておきます。

2011年の東日本大震災で産婦人科医として妊産婦や新生児の救護に携わった際、支援を受けることを遠慮する多くの方に出会いました。支援を受けることをみじめに感じている被災者の方々を見て、「自分が助けられてよいのだということを肯定しないと、いくら周囲が支援の手を差し伸べても助けることができない」と、歯がゆい思いをしたのです。

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