「人に頼る=恥」と考える人に伝えたい重要な視点 「支援される人=能力がない人」ではない!

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私たちは小学校のころから、「人助けをしましょう」「困っている人がいたら力になってあげましょう」と教えられてきました。人を助けるには、困っている人に手を貸せばいいのですから、行動としてはシンプルです。

でも、自分が困っているときに「わかりません」「できません」と言えるでしょうか。困ったときには助けを求めようということや、助けを求めるためのノウハウ、「うまい助けられ方」「助けられ上手になる方法」などは習ったことがありませんし、とっさに思いつくものでもありません。

しかも、周囲の人を見ていると、何でも自分できちんとしっかりこなして生きて(働いて)いるように見えるものです。すると、頼るということが、何か悪いことで恥ずかしいことのように思え、誰かの手を借りることに、負い目や抵抗感を覚えてしまいます。だからこそ、「困ったことがあったら気持ちよく頼る」「相手に迷惑をかけているとは思わない」ための訓練(受援力トレーニング)が必要なのです。

人から助けられることで謙虚になる

「人に助けてもらう経験」は、自分自身を「人助け上手」にすることにもつながります。

自分が人助けをしていい気持ちになっても、相手に対して優越感を覚えているばかりでは、逆の立場になろうとは思いません。でも、人から助けられる経験をすると、同じように困っている人の存在に気づき、手を貸せるようになるのです。

なぜかというと、自分が助けてもらった経験を通して、自分に限界があることを知ると同時に、誰にでも限界というものがあることが理解できるようになるからです。すると、誰かを助けるときも謙虚になり、自然と手を貸す気持ちになります。

自分が助けられることで謙虚になり、人の優しさや自分の人間関係資本(ソーシャル・キャピタル)に気づくことができるのです。

私たちのDNAに埋め込まれている“利己的な遺伝子”には、利他的行為をするようプログラミングされています。利己的な行動だけでは種が存続しません。種が生き延びられるよう、他者の役に立ちたい気持ちを誰もが持っているのです。

人の役に立ちたい気持ちを持つ人ばかり集まっても、助ける相手がいなければ「人の役に立ちたい」「人に喜ばれたい」「感謝されたい」という気持ちが満たされません。助けられる人は弱い人なのではなく、周囲の人の強みやよさを引き出す重要な存在です。

支え合うためにはまず支えられ、今度は自分が支えに行く。この順番で支え合いのサイクルが回ると考えれば、SOSを出すことへのハードルが低くなるかもしれません。

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