「人に頼る=恥」と考える人に伝えたい重要な視点 「支援される人=能力がない人」ではない!
そんな私自身も、災害後、時間が経つにつれて移り変わっていく支援内容とその規模の広がりに、プロジェクト・マネジメントの能力が追い付かず、燃え尽きてしまいました。
鬱々とした状態の中でも助けを求められず、自分を追い込んでしまった失敗体験から、
「あまりにも自分が疲弊してしまうと、こんな大変な仕事を誰かに任せるのは申し訳ないと感じ、“辛くなっても最後までやり遂げなければ”“押し付けてはいけない”と考えてしまった」
「自分に余裕がないと、引き継ぎや説明が面倒でますます頼めなくなる」
「自分がいくら情熱を持っていても、1人で切り盛りしていると、必ずどこかで限界がくる」
ということに気づきました。
自分が人に頼れずパンクした経験から感じたことを整理すると、次のようになります。
・私も自分自身の「受援力」が足りなかった
・誰だってうつ状態になることがある。うつ状態になる人や、自殺を考える人は特別な人ではない
・小さなストレスには強くても、大きすぎるストレスには弱い。大きすぎるストレスで折れそうな人を救うには、「自分は頼ってもいいのだ」「助けたい人が周りで待っているかもしれない」という受援力マインドを日ごろから作っておくこと。そうでないと、いざというときに使えない
・人間には当然ながら、限界というものがある
強みと弱みは1人ひとり違う
これは「レジリエンス」とも相関します。レジリエンスは「脅威や困難などの状況下においても、うまく適応する過程・能力・結果」のことで、心をしなやかに保ち、燃え尽き症候群や抑うつから人を救うキーワードです。
レジリエンスは、災害が起きたときの被災地支援活動の場でもよく使われる言葉で、困難な経験をしても、しなやかに回復する力を意味します。紛争や災害のような現場は、ともすれば、
「支援する人=能力がある人」
「支援される人=能力がない人・助けてあげなければいけない人」
という上下関係を生み出しがちです。でも、助けられる人はいつも能力が低い状態の人なのかといえば、そうではありません。
人は、状況、時期、健康状態などによって、支援が必要となったり必要ではなくなったりします。また、ある面ではその人の弱みである部分が、時と場合によっては強みになることもあります。別のタイプの強みを持っている場合もあります。つまり、人の強み・弱みは1人ひとり違い、その違いがあるからこそ私たちは全体として強いのです。
それなのに、支援する側の立場の人が支援を受ける相手に対して無意識にでも優越感を覚えてしまうと、支援される人だけでなく、実は支援する人自身の受援力の発揮をも妨げる原因になります。
支援する相手のことを弱い人だと思っていると、いざ自分が困ったときに、助けられる側、つまり逆の立場となることができず、助けを求めることに抵抗を感じてしまうのです。
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