「人に頼る=恥」と考える人に伝えたい重要な視点 「支援される人=能力がない人」ではない!

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自分がSOSを出すことで、喜んで手伝ってくれる人が必ずいる。うまくSOSを出せば、人助けをしたい気持ちを満たすことができる。相手の自己肯定感も上がり、力を発揮でき、元気になる――そんなふうにポジティブな捉え方をしてみると、頼ることについての、新たな価値が見えてくるのではないでしょうか。

それに、自分が弱音を吐くことで、ほかの困っている人も声を上げやすくなり、多様な人が共に生きやすい社会が作られます。「できる」「わかる」は1つの基準かもしれませんが、「できない」の内容は一人ひとり違います。その多様性をさらけ出し、認め合うことこそ、社会のしなやかさ――レジリエンスにつながるのです。

「忍耐=美徳」「我慢できない=恥」ではない

震災時の医療ボランティア活動の中で、人に迷惑をかけまいと自分だけで問題を解決しようとし、孤独を抱え、ふさぎ込んでいく人々を見るにつけ、日本では他人に助けを求めない、というよりは、助けを求めることを否定している文化があるのではないかと思いあたりました。

『『頼る」スキルの磨き方』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「忍耐=美徳」というよりも、「我慢できない=恥」と教えられていて、いつのまにか、自分で自分や家庭を守れないのは「失格」と思い込んでいるのではないでしょうか。真面目で努力家の人ほど、自分で自分を追いつめてしまいがちです。

一方的に「助けを求めている」とだけ考えると「申し訳ない……」と遠慮してしまいそうになりますが、人に頼ることと、人に迷惑をかけるということとはまったく違います。

力になってもらった後、相手に感謝する、喜ぶ、など、モノでは代わりにならない心という大きな価値をお返しすることができれば、WIN-WINの関係になりえます。

そして、人の力を借りた分、頑張ろう、恩返しをしようと努力すれば、今度は頼ってもらえるようになり、誠実さと善意のよい循環を生み出すことになるのです。そのためにも、「上手に助けを求める+たっぷり感謝する+大いに喜ぶ」をセットにして、「助け合い」ではなく、双方向性の「頼り合い」を、あなたから始めてみませんか。

吉田 穂波 医師、神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科教授

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よしだ ほなみ / Honami Yoshida

三重大学医学部卒業後、聖路加国際病院で臨床研修ののち、名古屋大学大学院医学系研究科で博士号取得。その後、ドイツとイギリスの産婦人科及び総合診療の分野で臨床研修を行い、帰国後は女性総合外来の創設期に参画。2008年、0歳から3歳まで3人の子どもを連れてハーバード公衆衛生大学院に留学。卒業後は同大学院のリサーチフェローとなる。2011年の東日本大震災では産婦人科医として被災妊婦や新生児の支援に携わる。このとき「受援力」の大切さを痛感し、無料でダウンロードできるリーフレット『受援力ノススメ』を作成。国や地方自治体の検討会など、全国で「受援力」を学ぶ場作りに取り組む。4女2男の母。

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