実は「人に頼るほど自分の能力も高まる」納得理由 助けられることで成長の幅が大きく広がる

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人に頼ることの重要性について解説します(写真 : GARAGE38/PIXTA)
「リモートワークは孤独」「自己責任論に押しつぶされそう」「もっと雑談したいのにできない」「人手不足でパンク寸前」――新型コロナウイルス感染症予防で人との対話が生まれにくくなり、孤立する人の増加が問題になっています。
そのような状況の中、重要性を増すものとして「受援力(人に助けを求める力)」を挙げるのは、医師で公衆衛生学専門家の吉田穂波氏です。新著『「頼る」スキルの磨き方』を上梓した吉田氏が、仕事の「レベル」を上げるために受援力が重要な理由を解説します。

頼ることを通じて「他者から学ぶ」

成人発達理論の分野では、他者や環境からの支援によって能力が身についてから、支援なしに発揮できるようになることがわかっています。より簡単に言うと、「サポートしてもらってできる」ようになった後に、「1人でできる」ようになるという流れです。

例えば、子どもが自転車に乗れるようになるのも、同じです。最初は自転車を支えてもらい、押してもらいながら乗れるようになり、上達し、その後、自主練習で定着させ、どんどん乗れるようになる――この逆はありません。

一見、ごく当たり前のように聞こえるかもしれませんが、サポートしてもらって学ぶことが先にあって、自分1人でできるようになるのです。そして教えてもらうことのレベルを高め続けることで、自分が発揮できる能力を高め続けることができます。

自分が現状でできることに満足せず、コンフォート・ゾーン(安住して努力せずにいられる状態)から一歩踏み出すことで、自分の力が伸びる。年齢を重ねるにつれ、自分が知らないこと、学ぶことのレベルが上がりますから、自分が発揮できる能力も上がるというわけです。つまり、大人だからこそ、他者に頼り、他者から学ぶことで、より大きな可能性を広げることができるのです。

頼ることを通して「他者から学ぶ」のはとても大切なことです。

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