「のび太の宇宙小戦争」原作をリメイクした意味 現代にも刺さる「映画ドラえもん」最新作の魅力

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(撮影:今井康一)
日本の映画業界で毎年3月の風物詩といえば「映画ドラえもん」だ。第1作は1980年に公開された『映画ドラえもん のび太の恐竜』。その41本目となる最新作が、3月4日に公開された『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)2021』である。
藤子・F・不二雄の筆による大長編『のび太の宇宙小戦争』は1984年から1985年にかけて『コロコロコミック』誌で連載され、それを原作にしたアニメーション映画が1985年3月に映画化されている。つまり今回は2度目の映画化、いわゆるリメイクだ。
脚本を担当したのは『交響詩篇エウレカセブン』などで知られる佐藤大氏。自身熱烈な藤子・F・不二雄ファンだが、リメイクにあたっては原作からいくつかの点で大きな“改変”を行っている。なぜ変えたのか。

「新キャラを出したかった」のではない

佐藤大(以下、佐藤)2017年から『ドラえもん』TVシリーズの脚本をレギュラーで担当していたのですが、あるとき映画脚本のお話が来ました。嬉々として二つ返事でお受けして、当初はオリジナルのアイデアを何本か提出させてもらいましたが、制作が動き出す段になったら「『のび太の宇宙小戦争』でお願いします」と。これは大変なことになったなと。

――大長編ドラえもんの中でも傑作として名高いですからね。下手にいじればコアなドラえもん好きが黙っていませんし、オールドファンが85年版と比較するのは目に見えています。相当なプレッシャーだったのでは?

佐藤:はい(笑)。だから、まずは『のび太の宇宙小戦争』を現代にリメイクする意味って何だろうということを頭に置きながら、自分なりに叩きのプロットを書いてみたんです。すると、今作の山口晋監督も示し合わせたようにほぼ同じような趣旨で変更した内容のプロットを書かれていました。そこで僕と山口監督が一番大事にしていたのが、ゲストキャラクターであるパピのパーソナリティを深掘りすることだったんです。

――パピは手のひらサイズの宇宙人で、ピリカ星の少年大統領。反乱軍のクーデターに遭い、命からがら地球に逃れてきます。

佐藤:そのパピを救うためにのび太たちがピリカ星に赴く、というのが大筋のストーリーですが、原作のパピは前半で反乱軍の情報機関・PCIA(ピシア)によってピリカ星に連れ去られ、のび太たちとは早々に離ればなれになってしまいます。

だけど、それではパピとのび太たちの関係を深掘りすることができません。のび太たちと一緒に旅をすることで彼の中に生まれてくるものが描けないんです。それもあって、山口監督とは原作の前半をできるだけ短くしようと話し合いました。削った分をパピとのび太たちが一緒にすごす時間に充てようと。

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