「ストロング系」高アル人気に異変起きた納得の訳 コロナ禍を背景に7%台が9%台の人気を逆転
「9%台離れ」は実際に起きたのか、全国15〜69歳の男女約5万人のモニターから買い物データを継続的に聴取している「インテージSCI」から、チューハイの度数別の購入動向を見てみよう。
ここでは、飲酒が認められている20歳以上に絞って、購入金額と購入率を確認する。購入金額とは、購入した人1人あたりの購入金額、購入率とは、モニターのうち、購入した人の割合だ。
すべての度数が含まれるチューハイ計は、購入金額・購入率ともに増加傾向にある。7%台も同様だが、購入率の伸びはより顕著で、2017年の15.2%から2021年の34.3%へと2倍超にまで増加した。
一方、9%台は、購入率が2020年の34.8%から2021年の30.0%へと減少に転じている。購入金額は2019年以降ほぼ横ばいで推移していることから、これまで通り9%台を飲み続ける人もいるものの、9%台を飲むのをやめる人も一定数いるようだ。
9%台から離れた消費者の中には、ある程度は度数が高く、飲みごたえのあるものがよいと、7%台を購入し始めた人もいるのではないだろうか。
ビール類やノンアルコール飲料も健康系商品が人気
コロナ禍における健康意識の高まりの影響が現れているのは、チューハイだけではない。ビール類やノンアルコール飲料でも、健康によいことを訴求する「健康系商品」が好調だ。
次のデータはビール類とノンアルコール飲料について、コロナ禍の変化を確認するために、2020年・2021年の市場規模の金額前年比を見たものだ。ビール類計の市場規模は、ほぼ横ばいで推移している。
ところが、糖質ゼロ・糖質オフなどの「機能訴求あり」のタイプは、2020年から増加傾向で、2021年には2桁増となった。増加の背景には、2020年10月の酒税法改正もある。
改正により、ビール類のうち、発泡酒・新ジャンルを除くビールの値下げが行われた。糖質ゼロを訴求するビールの新商品が人気となり、ビール類の「機能訴求あり」の市場を押し上げているためだ。
一方でビール類の「機能訴求なし」のタイプも新商品の発売はあったが、2021年に前年比97%と前年割れ。ビールに絞っても、機能訴求なしのタイプの2021年の前年比は103%と微増にとどまっている。酒税法改正だけではなく、健康志向の高まりも、ビール類の消費トレンドに変化をもたらしていると言えそうだ。
また、ノンアルコール飲料も2020年から増加傾向にあり、2021年には2桁増となっている。とりわけ好調なのが機能性表示食品で、「脂肪や糖の吸収を抑える」といった効果を訴求するものだ。
感染拡大をきっかけに加速した健康志向の高まりが、このように消費者の身近な商品選びにも変化を及ぼしている。3年目に突入したコロナ禍の生活だが、今後も消費トレンドに動きがあるかもしれない。
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