「ストロング系」高アル人気に異変起きた納得の訳 コロナ禍を背景に7%台が9%台の人気を逆転

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ストロング系の動向を確認するため、ストロング系の中で主力である、9%台と7%台の市場規模の推移に注目したい。

ストロング系の中でも、とくに人気だったのが9%台で、2018年にはチューハイ内の金額構成比38.2%と4割弱を占めていた。度数が高くてもほかの度数のチューハイと同じ販売価格帯のため、費用をかけずに手軽に酔えると支持されていたようだ。

7%台が9%台を逆転した理由

ところが2021年には、9%台のチューハイ内金額構成比は28.7%まで減少した(2020年は34.4%)。コロナ禍により家で過ごす時間が増えたことで、冷蔵庫にあるお酒につい手が伸びてしまうなど、飲酒の仕方が変わった人もいるだろう。そのときに飲むお酒の度数が高すぎてはと、健康への影響を懸念する人もいたものと推察される。

前述のとおり、比較的度数の低い4~6%台が2021年に2桁増となっていることからも、アルコールの取りすぎを控える動きがあったと見て取れる。

そうした中、人気が高まっているのが7%台だ。2021年にはわずかながら9%台の販売金額を超えた。月別では、2021年4月以降、7%台が9%台の規模を上回っている。350ml缶のバラ売りでの平均価格をみると、7%台は2021年に126円と、9%台の117円よりも10円近く高いにもかかわらずだ。

コロナ禍では、健康意識が高まっているほか、外出や旅行が難しい中で家庭での時間を充実させたいという需要もある。そのため、多少価格が高くとも健康への影響を軽減できるうえ、果実感の訴求など味に付加価値のある7%台のチューハイが選ばれるようになったと考えられる。

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